名刺は昔の付き合いで作った印刷屋さん。チラシは知り合いの手作り。会社案内の資料は社内で誰かが作ったもの。SNSに置いてある画像は、また別の誰かが用意したもの。並べてみると、同じ会社のものに見えない。
こうなっている会社は、めずらしくありません。一つひとつは悪くないのに、揃っていないだけで、全体が頼りなく見えます。
揃っているだけで、会社は違って見える
見た目の善し悪しよりも先に効くのは、揃っているかどうかだと私は思っています。使っている色、文字の形、置いてある図。これらが同じ調子でつながっていると、それだけで、きちんと仕事をしている会社に見えます。
反対に、写真を並べただけの画像や、その場しのぎで作った背景が混ざっていると、いくら中身が良くても素人の手作りに見えてしまいます。中身は一切変わっていないのに、受け取られ方だけが変わる。ここは、費用をかけずに動かせる数少ないところです。
ページを開いたときに小さく出る目印の絵まで揃えると、印象はさらに変わります。ここは意外と見落とされています。
社内でできるのは「展開」のほう
では、それを全部よそに頼むのかというと、そうではありません。デザインの仕事は、元を作る部分と、それを場所ごとの大きさに直していく部分に分かれます。後者は社内でやれます。
たとえばCanvaのような道具を使うと、一度作ったものの縦横を差し替えるのが簡単です。動画の表紙として作った横長の絵を、Xの背景の大きさに直す。Instagramに置く四角い形に直す。中身は同じで、大きさと配置だけが変わる。この作り替えは、外に出すと往復が発生するぶん、かえって遅くなります。
画面の中だけの話でもありません。チラシ、名刺、店先に貼る横長の幕。紙や布に出すものも、同じ元から起こせます。私が便利だと感じているのはここで、画面用と印刷用で別々に頼んでいたものが、一本にまとまります。
ひな形を書き換えるところから始める
ゼロから作ろうとしないことです。この手の道具には、あらかじめ形の決まったひな形が大量に入っています。文字を打ち替え、色を自社のものに寄せる。それだけで、ひとまず人前に出せる形になります。
発表用の資料も同じです。表紙と中身の型が決まっているものを選び、載せる言葉と写真を入れ替えれば、それなりの枚数が短時間で揃います。ひな形の中には、そのまま仕事に使ってよいものも多くあります。使ってよい範囲は道具ごとに決められているので、そこだけは最初に確かめておいてください。
それでも外に出したほうがよい線
社内で持てないのは、ゼロから決める部分です。会社の目印になる一枚、看板になる図案、それから、人や商品を撮る写真。ここは経験の差がそのまま出ます。
ついでに書いておくと、Instagramは華やかな暮らしを見せる場所だと思われがちですが、私の見るかぎり、商売の話がそのまま届いている例も多くあります。作った絵を何枚か並べて短い動画にし、商品やサービスの説明にあてる、という使い方です。芯が一枚あれば、こういう見せ方まで社内で回せます。
言い換えると、頼むのは「芯の一枚」だけで足ります。芯さえ決まっていれば、あとはその色と形を、名刺にも、チラシにも、投稿の画像にも広げていくだけです。私は、この順番で頼むようになってから、頼む量も待つ時間もずいぶん減りました。
一人で全部を覚えなくていい
最後に、社内での持ち方の話をします。
一人が全部を覚えようとすると、まず続きません。文字の打ち替えだけを担当する人がいてもいいですし、写真を選ぶだけの人がいてもいい。手が空いている人に一つずつ渡していけば、そのうち手順を見なくてもできるようになります。そこまで来たら、次の作業を覚えてもらえばよいのです。
今日できることを一つ挙げるなら、名刺と、いちばんよく使う資料の表紙を並べてみることです。色が違っていたら、片方をもう一方に合わせる。そこから始めれば十分です。
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