ホームページの見積もりを何社かから取ったが、金額の幅が大きすぎて決められない。そういう相談を受けることがあります。並べて見せてもらうと、たいてい価格が違うのではなく、含まれているものが違います。同じ紙に見えて、比べられる形になっていないのです。
これは頼む側だけの話ではありません。請ける側も、範囲を決めないまま受けると、あとから増えていく作業を自分の持ち出しで埋めることになります。ここでは、頼むときと請けるときの両方から、どこで線を引くかを整理します。
誰に頼んでも、自分で用意しないと進まないものがある
原稿と写真です。ここは、どこに頼もうと変わりません。文章の元になる話と、載せる写真を出せるかどうかで、進み方が決まります。
私が見てきたかぎり、止まっている案件のほとんどはここで止まっています。作る側の手が遅いのではなく、渡すものが渡っていない。頼む前に、手元にある写真と、伝えたい話の下書きだけでも集めておくと、そのあとが楽になります。
人が増えるほど、日数と費用は積み上がる
全部まとめて任せる形にすると、関わる人が一気に増えます。話を聞きに来る人が来て、その取材が一度では終わらず、二度三度と重なります。写真を撮る人が入り、動画も撮るならその人も入り、撮ったものを編集する人が続きます。
高くなるのは、誰かが上乗せしているからではありません。そういう作りになっているからです。逆に言えば、関わる人を減らせば下がります。安くしてほしいと言う前に、どの工程を自分たちで持てるかを見たほうが話が早いのは、このためです。
頼み先は、一種類ではない
もう一つ知っておいてほしいのは、頼み先の幅です。制作会社に丸ごと任せる形が唯一の道ではありません。個人の作り手を探せる場もありますし、自分たちで組み立てられる仕組みも世に出ています。自社の住所にあたるドメインを自前で持つなら、そのぶんの費用が毎年かかりますが、それでも桁が変わります。
どれが正しいという話ではなく、必要なものの大きさに合わせて選ぶだけです。近所の事業者から相談されたときに、この幅を知っているだけで、案内できることが増えます。
どこまでが中で、どこからが外か
見積もりを受け取ったら、金額より先に、次の四つがどちら側にあるかを確かめてください。
文字を直す作業は中か外か。写真を差し替えるのは中か外か。ページを一枚足すのは中か外か。そして、公開したあとの更新は誰がやるのか。
この四つは、後から必ず出てきます。出てきたときに決めようとすると、お互いに気まずくなります。先に一行ずつ書いておけば、それだけで揉めどころが消えます。請ける側にとっても、この四つを最初に示せるかどうかが、そのまま信用になります。
自分でやる線を、先に引く
私は、頼む範囲は小さいほどよいと考えています。できるところまでは自分たちでやる。どうしてもできないところ、あるいは手が回らなくてやりたくないところだけを外に出す。この切り分けが先にできていると、相手に伝える言葉も短くなります。
逆に、切り分けをしないまま「いい感じにしてください」と渡すと、どんな相手でも高くつきます。何をしていいのか分からないぶん、余裕をみた見積もりになるからです。
作って終わりにしない取り決めを、別に置く
もう一つ、公開してからの話をしておきます。
サイトは、作った日がいちばん新しく、翌日から古くなります。手を入れずに置くと、書いてある内容が実態とずれていきます。ところが、作る契約の中に、公開後の面倒を見る取り決めが入っていないことが少なくありません。
請ける側からすると、売り切りの仕事は、終わるたびに次の相手を探し直すことになります。頼む側からすると、触れないサイトが残ります。どちらにとっても損なので、作る取り決めと、そのあと見続ける取り決めは、はじめから分けて置いたほうがいいと私は思います。
次に見積もりを取るときは、金額の欄を見る前に一つだけ聞いてみてください。公開したあと、この文章を書き換えるのは誰ですか、と。返ってきた答えで、その先の付き合い方がだいたい分かります。
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