AIに書かせた文章を、そのまま世に出せるかというと、出せません。理由を「間違いが混じるから」と説明されることが多いのですが、私の見るかぎり、いちばん危ないのはそこではありません。こちらが一度も決めていないことを、当然のような顔で書いてくるところです。
以前、季節の行事に合わせた案内を作らせたとき、店の全部のメニューを割り引く催しを、こちらが頼んでもいないのに書き込んできたことがありました。文章としては、よくできていました。よくできているから、読み飛ばすと気づきません。
誤字は減った。減らないのは別のところ
はっきり良くなった点もあります。漢字の変換ちがいや、抜けた文字。この手の初歩的なつまずきは、人が書くより少なくなりました。日本語は、書き慣れた人でも打ちまちがえます。そこを気にしなくてよくなったのは、素直に助かります。
だからこそ、見るべき場所が変わりました。文字づかいを直す作業は減り、中身が本当かどうかを確かめる作業が残ります。この二つは別の仕事です。
直す順番を決めておく
上から順に読んで、気になったところを片端から直していくと、あとで「そもそも出せない内容だった」と分かって全部やり直しになります。そうならないよう、私は順番を決めています。
一つめ、その内容を店として出せるか
やっていない催し、扱っていない商品、言い切れるほどの根拠がない話。ここは他人にもAIにも任せられない部分です。書いた覚えのない条件が入っていないか、それだけを探して一度読みます。
とくに、こちらが渡していない条件には気をつけてください。期間、対象、割引の有無。この三つは、渡していなければ本来は書けないはずのものです。書いてあるということは、どこかから借りてきたということになります。
二つめ、宛先がずれていないか
誰に向けた文章だったかを思い出して、もう一度読みます。指示のとおりに書いてくれていても、途中から一般論に流れていることがあります。
三つめ、長さを合わせる
短くしてほしいと頼んでも、たいてい長く返ってきます。長さは最後に整えるほうが早いので、この位置に置いています。
四つめ、飾りを外す
つけてくれた印や記号のうち、意味の分からないものは外します。全部を残す必要はありません。分かるものだけを残せば十分です。
同じ位置で、言葉づかいの混ざりも直します。日本語で頼んだのに一部が英語のまま返ってくることがあります。読み手にとっては、そこだけ景色が変わって見えます。
直すより、選び直したほうが早いこともある
一つの案を手直しし続けるより、はじめから複数出させて、その中から選ぶほうが早い場面があります。五つほど並べてもらって、読み比べる。どれも決め手に欠けて迷ったときは、真ん中のものを選ぶとおおむね外さない、という話を聞いたことがあります。
もう一度書き直させるときの頼み方にも、差が出ると言われています。「これでは駄目だ」と突き返すより、「これも良いが、もっと良いものが書けるはずだ」と伝えるほうが、返ってくるものが良くなるという見方です。真偽のほどは分かりませんが、こちらの気分は確かに良くなります。
確かめる時間を、先に決めておく
作るのが速くなったぶん、確かめる工程が後ろに詰まります。ここを段取りにしておくと楽になります。
まとめて作っておく。人の目を通す時刻を決めておく。公開の前に見る人と、その持ち時間を決めておく。問題が見つかったら差し替えるか取り下げるかも、あらかじめ決めておく。人に任せている場合は、この取り決めをそのまま渡せば話が早いです。
私は最初、この確認を「念のため」だと思っていました。今は逆で、確認までを含めて一つの作業だと考えています。作らせる速さより、出す前に立ち止まれるかどうかで差がつきます。
次に何かを書かせたら、公開の前に一度だけ、内容が本当かどうかだけを探して読んでみてください。それ以外は後で直せます。
当てはまる人だけへ
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