AI電話の導入でいちばん多い相談は「どこから始めればよいか」です。結論から言うと、お客様のほうから電話をくださった場面から始めて、こちらからかける電話は最後に回すのが安全です。理由は、相手がすでに自社を知っているかどうかで、失敗したときの傷の深さが変わるからです。
第1段階:かかってきた電話を受ける
最初は、営業時間外や施術中、接客中など、人が出られない時間にかかってきた電話を受ける役目です。AIの仕事は、名乗り、用件の聞き取り、折り返しの希望時間の確認だけに絞ります。相手は自分からかけてきた方なので、AIが少し不器用でも、許される余地が大きい場面です。
この段階で確かめるのは、聞き取りの正確さと、返事までの間です。1〜2週間、記録を毎朝読んで、聞き間違いの型を拾います。
第2段階:問い合わせへの折り返し
次は、フォームや予約の入力をしてくださった方への折り返しです。こちらからかけますが、相手には「問い合わせた」という接点があります。同意の取り方と、断りの言葉を止める仕組みが、ここで初めて必要になります。
- 名乗りとAIであることの開示
- 「担当から改めて連絡してよいか」の確認
- 断りの語が出たら、その場で終える
第3段階:こちらから新しくかける電話
面識のない相手への営業の電話は、最後です。ここは法律の線もいちばん多く、相手の気持ちの面でも難しい場面です。第1・第2段階で、止める仕組みと記録が毎日回っていることを確かめてから、範囲を決めて検討します。急ぐ必要はありません。
段階ごとに、やめる基準も決める
各段階には、進む目安だけでなく、戻る基準も置いておきます。たとえば、聞き間違いで折り返しの電話番号を取り違えた件が週に2件を超えたら、前の段階の運用に戻して台本を直す、といった具合です。戻る基準が先にあると、うまくいかないときに空気を読んで続けてしまう、ということが起きません。
私たちも、この順番の途中にいる
私たち自身も、この順番の途中です。営業の電話をAIにかけさせる仕組みは、台本・結果の仕分け・その後の追いかけの流れまで組みましたが、実在の相手への発信はまだ始めていません(2026年10月4日時点の自社の記録)。かける前に、自社の検証環境で試験の通話を重ねました。10月3日〜4日の2日間で14回、うち1回は試験の道具の不具合で無効です。
この試験で、締めのあとに質問を足す、断られたあとに一言足す、差し込みの名前が空のまま読み上げる、の3つの欠陥が見つかり、どれも台本を直してからかけ直して確かめました。第3段階は、こうした直しが出尽くしてから踏む段だと考えています。
小さな会社ほど、順番が効く
人手に余裕のない会社は、一度に全部を変えられません。だからこそ、1つの段階を1か月くらいかけて固めて、次に進みます。1段階ごとに、記録を読む習慣が根づくので、第3段階に着くころには、止めどころを自分たちで判断できるようになっています。
段階を上げる目安
次の段階に進む目安は、記録を読んだ人が「直すところが毎回1つ以下」になったときです。試しの通話の測り方は、AIに電話番を任せる前に、声と応答の速さを測る話に書いています。順番を守るだけで、やり直しの数はかなり減ります。
AI電話を、自分の会社の業務に合わせて試したい方へ
電話の受付や折り返しをAIに任せる前に、何を任せて何を人が持つかを決める。問い合わせの受け口から記録まで、小さな営業導線を自分の手で作る実務講座を開いています。オンラインで30分の無料個別相談から始められます。
運営: 株式会社トレジャーハンティング