不動産会社の「反響への折り返し電話」を、AIに最初の1本だけ任せる

不動産会社の電話で、一番もったいないのは「問い合わせが来たのに、折り返しが夕方になった」ことです。内見の案内や契約の準備で手が空かない日に、反響の電話だけが後回しになります。ここでは、折り返しの最初の1本をAI電話に任せる形を、できる範囲に絞って書きます。

目次

AIが担う場面は「最初の1本」だけ

対象は、ご本人がフォームや媒体から問い合わせを入れてくださった方への折り返しです。名簿を買って片っ端からかける形ではありません。問い合わせてくださった、という接点があるから成り立つ使い方です。

AIの役目は3つに絞ります。名乗りとAIであることの開示、問い合わせの物件がまだ案内できるかの確認の入り口、そして「担当から改めてご連絡してよいか」の同意を取ることです。

任せる範囲と、人が持つ範囲

AIが話すのは、確認の質問までです。人が持つのは、次の場面です。

  • 条件の交渉や、申込の意思確認
  • 入居審査やローンなど、個人の事情に踏み込む話
  • 物件の細かい事実(設備の状態・周辺の事情)への回答

物件の事実は、紙の資料と現場の記憶が頼りです。AIが推測で答えると、あとで訂正の電話が必要になります。「その点は担当が確認してお答えします」と言って引き継ぐ線を、台本にあらかじめ書いておきます。

台本の骨子

流れは短く保ちます。例として、次の順です。

  • 名乗り「○○不動産の電話受付のAIです。お問い合わせの件で、1分ほどよろしいでしょうか」
  • 用件「先日、この物件についてお問い合わせをいただきました。今も気になっていますか」
  • 確認「内見をご希望でしたら、担当から日程のご連絡を差し上げます。連絡してもよろしいですか」
  • 同意があれば「本日中に担当からご連絡します」で締める。締めのあとに「ほかにご用件はありますか」と足さない

私たちが自社の検証環境で、営業の電話をAIにかけさせる試験をしたときのことです(2026年10月3日・電話番号を持たないWeb通話・相手役は合成音声)。相手役が「送って」と答えると、AIは「本日中にお送りします」と締めたのに、続けて「何か他にご用件は」と足しました。この回は94秒で、見本には使わず没にしました。台本の「してはいけないこと」に「締めの言葉のあとに、ほかの質問を足さない」の1行を加えて録り直すと、2回目は89秒で、締めの言葉で終わりました。1回ずつの観察ですが、締めの言葉は台本の最後の行まで決めておくほうが安全です。

止める条件

次のいずれかが出たら、その場で通話を終え、記録に「停止」と残します。

  • 「かけてこないでほしい」「もう結構です」などの断り
  • 家族や第三者が出て、本人ではないとき
  • 人に代わってほしいという希望

停止の語は、同意の語より優先します。「いいですよ、でも今は忙しいので」のように混ざった返事は、同意として扱わず、人に回します。

同じ日の試験通話6本(送ってよい3本・断り3本)を、通話の結果を仕分ける仕組みに通したところ、6本とも想定どおりの側に分かれました。断りの3本は、どれも相手役の「結構です」の一言で停止に入っています。

記録の残し方と、翌朝の見方

通話のあとに残す記録は、4行で足ります。通話の結果(同意・断り・不在・人へ回す)、物件の名前、希望された日時、AIが答えられず引き継いだ質問の中身です。翌朝、担当者はこの記録を上から読み、同意の件から折り返します。

「不在」の件は、同じ日のうちにもう一度かけるのではなく、時間帯を変えて翌日に1回だけにします。何度もかけると、反響のお客様に不信感を与えます。引き継いだ質問が3日続けて同じ内容なら、それは台本か、物件ページの書き方を直す合図です。

試し方

いきなり実際の問い合わせにかけず、社内の人を相手に、試しの通話を数本録ります。声の聞き取りやすさと、返事までの間が、実務に耐えるかを聞き比べます。試しの電話の測り方は、AIに電話番を任せる前に、声と応答の速さを測る話に書いています。

最初の1か月は、折り返しの全部をAIにせず、夜間や休日の分だけから始める進め方もあります。記録を毎朝見て、台本の直しどころを拾ってください。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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