モニタリングの前に、半年分の記録をAIで読み返す——変化の拾い方

個別支援計画は、作って終わりではありません。決められた時期ごとに、計画どおりに支援が進んでいるか、ご本人の様子や希望に変わりがないかを確かめ、必要なら計画を見直します。いわゆるモニタリングです。

このモニタリングの準備で時間がかかるのが、記録の読み返しです。半年分の支援記録を1人ずつめくり、変化を拾い、面談で聞くことを考える。利用者さんの人数が多い事業所ほど、見直しの時期は事務が重なります。

私たちが運営する就労継続支援B型の事業所「フェイス・トゥー・フェイス」でも、見直しの時期は記録の山との勝負でした。この記事では、記録の読み返しをAIに手伝ってもらうやり方をお伝えします。計画の下書きそのものではなく、その手前の「材料を集める」ところの話です。

目次

読み返しで探しているもの

まず、記録を読み返して何を探しているのかを整理しておきます。私たちが見ているのは、おおむね次の4つです。

  • 計画の目標に関わる作業で、できるようになったこと
  • 逆に、続けるのが難しくなっていること
  • 体調や通所のリズムの変化
  • ご本人が口にした希望や不安の言葉

この4つが、面談で話す材料になります。AIに頼むときも、この4つを探してほしいと伝えるところから始めます。

AIに頼む前の準備

記録をAIに渡す前に、名前や生年月日のような、その人を特定できる情報を外します。記録の仕組みから書き出すときに、氏名を記号に置き換えておくのが簡単です。病名や服薬の詳しい内容も、読み返しの目的には要らないことが多いので外します。

次に、期間を区切ります。半年分を一度に渡すより、1か月ごとに分けて要約してもらい、最後にその6つの要約を並べて変化を見てもらう方が、取りこぼしが少なくなります。

頼み方の型

私たちが使っている頼み方は、次のような形です。

  • これは1か月分の支援記録です。人の名前は記号に置き換えてあります
  • 「できるようになったこと」「難しくなっていること」「体調と通所」「本人の言葉」の4つに分けて、記録に書かれている事実だけを短くまとめてください
  • 本人の言葉は、記録に書かれているとおりに引用してください
  • それぞれの事実が、記録の何日の記述から来ているかを添えてください
  • 記録に書かれていないことは書かないでください

4つめの「何日の記述か」を添えてもらうのが大事なところです。あとで職員が元の記録に戻って確かめられるからです。日付のない要約は、確かめようがありません。

6か月を並べて、変化を見る

1か月ごとの要約がそろったら、それを並べてもう一度AIに渡します。ここで頼むのは、変化の拾い出しです。

  • 半年の間に変わったこと、変わらず続いていることを挙げてください
  • 計画の目標に照らして、話し合っておきたい点を3つ挙げてください
  • 判断や評価はせず、記録から言えることだけにしてください

出てきた一覧は、面談の前に担当の職員が読みます。ここで「確かにそうだ」と思うものもあれば、「これは記録の書き方が変わっただけで、本人は変わっていない」と気づくものもあります。その見極めは、日々ご本人と接している職員にしかできません。

AIに任せない線

読み返しの手伝いは便利ですが、任せない線もはっきりさせておきます。

まず、評価です。目標をどこまで達成したか、支援の方法が合っているかの判断は、記録と観察にもとづいて人が行います。AIの要約は、判断の材料を並べるところまでです。

次に、ご本人の気持ちの読み取りです。記録に「疲れた」と書かれていても、その日だけのことか、続いている疲れなのかは、文字だけでは分かりません。表情や声の調子を知っている職員が補います。

そして、面談そのものです。AIが挙げた話し合いの点は、あくまで職員の準備のためのものです。面談では、ご本人の話をまず聞きます。準備した論点を順に確かめる場にしてしまうと、ご本人が本当に話したいことを聞き逃します。

記録の書き方が、読み返しやすさを決める

この方法を続けていると、記録の書き方そのものが変わってきます。読み返したときに役に立つ記録と、そうでない記録の違いが見えるからです。

たとえば「今日も頑張っていた」という記録は、半年後に読み返しても何も拾えません。「袋詰めを午前中に最後まで続けた。前の週は途中で休憩を2回取っていた」と書いてあれば、変化として拾えます。具体的な事実を残すことが、モニタリングの準備を楽にします。

計画の様式に沿って下書きを作るところまで見てみたい方は、私たちが公開している個別支援計画書のAI下書きの試しのページをご覧ください。架空の利用者さんの面談メモから、国の参考様式の欄に沿った下書きと、その根拠の文が出る流れを確かめられます。同意の欄はAIに書かせない作りにしています。

記録を声で残す方法は音声メモから記録の下書きを作る記事に、この10本の全体の地図はAIに任せる仕事と任せない仕事の記事にまとめています。

次の見直しの時期が来たら、まず1人分、1か月の記録の要約から試してみてください。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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