利用を考えている方や、そのご家族から、相談の電話がかかってくる。電話を受けた職員は、丁寧に話を聞き、できることを伝える。ところが、数日後にその方から改めて電話があったとき、前回話を聞いた職員が不在だったらどうでしょうか。
次に電話を受けた職員は、前回の事情を知りません。その方に、同じ話をもう1度してもらうことになります。相談する側にとって、同じ話を何度もするのは負担です。私は、相談の電話の記録を残し、次の担当へつなぐ段取りを整えておくことをすすめています。
同じ話を、何度もさせてしまう
相談の電話の内容は、受けた職員の頭の中や、手元のメモにだけ残っていることが多いものです。その職員がいれば問題ありませんが、休みの日や、ほかの仕事で手が離せないときには、誰も事情がわかりません。
相談する方は、勇気を出して電話をかけてくることもあります。そのたびに最初から話し直すことになると、事業所への信頼が揺らいでしまいます。
記録の型を決める
まず、相談の電話の記録の型を決めます。残しておきたいのは、次のような項目です。
- 電話を受けた日と、受けた職員
- 相談してきた方の名前と連絡先、ご本人との関係
- 相談の内容の要点
- 事業所から伝えたこと
- 次にすること(見学の案内を送る、折り返しの電話をする、など)
型が決まっていれば、どの職員が受けても、同じ項目で記録を残せます。
記録の置き場所を1か所にする
記録は、決まった1か所に残します。電話を受けた職員の手帳や、個人のパソコンに残すのではなく、どの職員でも見られる場所に置きます。
問い合わせを顧客の台帳にまとめて記録する仕組みを使えば、同じ方からの相談を、時間の順に並べて見られます。次に電話がかかってきたとき、その方の名前で探せば、これまでのやりとりがすぐにわかります。
電話を切ったら、すぐに書く
記録は、電話を切ったらすぐに書きます。あとで書こうとすると、細かな内容を忘れてしまいます。
電話をしながら要点をメモしておき、切ったあとに型に沿って整えます。忙しくてすぐに書けない場合も、その日のうちには必ず書くと決めておきます。
相談できるAIで、要点をまとめる
電話の内容を、決まった型に整えるのは、慣れないと時間がかかります。そこで、相談できるAIに手伝ってもらいます。
電話をしながら書いたメモをAIに渡し、「相談の電話の記録として、決まった項目に沿って要点をまとめて」と頼めば、下書きができます。職員は、内容が合っているかを確かめて直すだけで済みます。
ただし、相談の内容には、ご本人の障害や体調、家庭の事情など、大切に扱うべき情報が含まれます。AIに何を渡してよいかは、事業所で決まりを作っておきます。
次にすることに、担当と期日をつける
記録の中で特に大切なのは、次にすることです。見学の案内を送る、折り返しの電話をする、といった次のことに、誰がいつまでにやるのかをつけておきます。
担当と期日がついていないと、「誰かがやるだろう」と思ったまま、誰もやらないことが起きます。次にすることの一覧を、朝の打ち合わせで確かめる決まりにしておくと、漏れが減ります。
折り返しの約束は、必ず守る
相談の電話では、「確かめてから折り返します」と約束することがよくあります。この約束が守られないと、相談した方の信頼は大きく損なわれます。
折り返しの約束をしたら、記録の中に、いつまでに誰が折り返すのかを必ず書きます。折り返す職員が休みになったときは、別の職員が代わりに電話をかける。記録があれば、代わりの職員も事情をつかんだうえで電話ができます。
約束の日までに答えが出ないときも、「まだ確かめているところです」と一度連絡を入れます。何の連絡もないまま待たせるより、ずっと安心してもらえます。
電話を受けたら、まず記録を見る
記録を残すだけでなく、電話を受けたときに記録を見る習慣も大切です。電話の相手の名前を聞いたら、まずその方の記録を開きます。
前回の相談の内容がわかれば、「先日はお電話ありがとうございました。見学の件ですね」と話を続けられます。相談する方は、覚えてもらえていることに安心します。
まとめ
相談の電話の記録は、次の担当へつなぐために残します。記録の型を決め、置き場所を1か所にし、電話を切ったらすぐに書く。要点のまとめは相談できるAIに手伝ってもらい、次にすることには担当と期日をつける。そして、電話を受けたらまず記録を見る。この段取りで、相談する方に同じ話を何度もさせることは、ぐっと減っていきます。
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