福祉の事業所でブログを始めて、数本で止まってしまう。よくある話です。
止まる理由を聞くと、たいてい「何を書けばいいかわからなくなった」と返ってきます。ネタが尽きたのではなく、書き方が毎回ゼロから始まっているのが原因であることが多いです。
誰がどんな目的で読みに来るのかは、検索してくる人の目的は三つに分かれるに書きました。この記事では、書く側の段取りの話をします。
毎回ちがう順番で書いている
一本目は行事の報告、二本目は制度の説明、三本目は職員の紹介。内容が違うのは構いません。問題は、書く順番まで毎回違うことです。
書くたびに、どこから始めてどう終わらせるかを考えている。それは、毎回はじめて文章を書いているのと同じ負荷になります。続かないのは当然です。
型に当てはめると読みやすくなるのは、ページも同じです(見学の申し込みが増えないとき、ページを一枚だけ作り直してみる)。
順番を先に決めてしまう
そこで、型をひとつ決めてしまうことを勧めています。
最初に、読む人が困っていることを書く。次に、それに対する答えを先に出す。そのあとで、なぜそう言えるのかを説明する。実際にあった場面をひとつ挟む。最後に、もう一度答えを繰り返す。
この順番を固定します。中身が行事の報告でも、制度の説明でも、同じ順番に流し込む。
型があると、書く前に埋める場所が見えます。困りごとは何か、答えは何か、理由は何か、場面はどれか。四つ決まれば、あとは並べるだけになります。
答えを先に出すことに慣れる
この型でいちばん抵抗があるのは、答えを先に出すところです。
説明を積み上げてから結論に至るほうが、書く側としては自然に感じます。ただ、読む側は最後まで読んでくれるとは限りません。知りたいことが早く出てこないページは、途中で閉じられます。
先に答えを出しても、理由が知りたい人は残ります。むしろ、答えが合っていたから理由を読みたくなる。順番を変えるだけで、読まれる長さが変わります。
AIに下書きを手伝わせる場合も、この順番を先に渡しておくと直す量が減ります(AIが書いた文章を、そのまま出せない理由と直す順番)。
場面をひとつ入れる
型のなかで効くのが、実際にあった場面をひとつ入れるところです。
制度の説明だけの記事は、どこの事業所が書いても同じになります。読んだ人の記憶にも残りません。そこに、実際に起きたやりとりがひとつ入るだけで、その事業所の記事になります。
利用者の個人的なことを書く必要はありません。むしろ書くべきではない。書けるのは、職員の側で起きたことです。準備に手間取った話、思い込みで進めて直した話、聞かれて初めて気づいた話。そういうもので十分です。
誰に向けて書くかを決めておく
順番と一緒に決めておきたいのが、読む相手です。
当事者に向けて書くのか、家族に向けてか、相談支援の担当者に向けてか。この三者は、知りたいことも、使う言葉も違います。
一本の記事で三人全員に向けようとすると、誰にも刺さらない文章になります。今回は家族向け、と決めてから書く。次の記事で別の相手に向ければいいだけです。
型の五つを埋める下書きの例
ブログの継続率を上げるために、先ほど紹介した五つの要素(困りごと、答え、理由、場面、もう一度答え)を実際の文章にどう落とし込むか、具体的な下書きの例を確認しておきます。この流れに沿うことで、ゼロから悩む時間が減ります。
- 困りごと:職員の間で新しい利用者の受け入れ準備に関する手順があいまいになり、初動で戸惑ってしまうという課題。
- 答え:受け入れの初日に確認するチェックリストを一つだけ共有し、最初の作業を固定すること。
- 理由:確認項目を一つに絞ることで、担当者が変わっても抜け漏れを防ぎ、落ち着いて対応できるようになるため。
- 場面:例:受け入れの準備の途中で備品の頼み忘れに気づき、確認し直した、というような職員の側で起きた出来事。
- もう一度答え:最初の手順をチェックリストで固定することが、スムーズな受け入れ体制をつくる近道です。
挟める場面の例と書いてはいけないこと
記事の中にリアリティを持たせるために「実際にあった場面」を挟むことは有効ですが、その内容には明確な線引きが必要です。読者に安心感を届けるための適切なエピソードの選び方を整理します。
- 書いてよい場面の例:職員同士の打ち合わせで意見が分かれたときの調整の工夫、マニュアルを新しく作り直した際に迷ったポイント、事務作業の効率化を試行錯誤した体験など、職員の側で起きた出来事。
- 書いてはいけないこと:利用者のプライバシーに関わる具体的な個人名、疾患の具体的な詳細、個別の日々の生活状況など、利用者の個人的な情報。これらは書きません。
読む相手ごとの言葉の違いの例
「誰に向けて書くか」をあらかじめ決めておくことで、読者に寄り添った自然な言葉遣いが選べるようになります。それぞれの対象に応じた表現の使い分けの例を見ていきます。
- 当事者(利用者本人)に向けて書く場合:「〜できます」「お手伝いします」といった、柔らかく分かりやすく行動をイメージしやすい言葉遣いを意識します。専門用語をできるだけ噛み砕いて伝えることがポイントになります。
- 家族に向けて書く場合:「日中のご様子」「相談しやすい環境」など、預ける際の安心感や具体的な一日の流れが想像できるような、丁寧で温かみのある言葉を選びます。
- 相談支援の担当者に向けて書く場合:支援の内容や事業所の特徴、利用枠の状況などを簡潔に示し、業務上の連携がスムーズに進むような客観的で伝わりやすい表現を用います。
書く担当を回すときの段取り
ブログを組織として継続させるためには、特定の個人に負担が集中しない工夫が必要です。書く担当を円滑に回すための具体的な段取りを確認します。
- 担当を固定しない:一人の職員にすべてを任せず、複数のスタッフで順番に持ち回る仕組みを作ります。これにより、特定の人が忙しい時期でも全体の更新が止まるのを防ぎます。
- 型を共有しておく:全員が共通の書く順番(型)をあらかじめ共有しておけば、誰が執筆しても記事全体のトーンや品質のバラつきを抑えることができます。
- 場面の持ち寄りを習慣にする:日々の業務の中で起きた小さな気づきや工夫を、職員同士で共有するミニミーティングなどを通じてネタとしてストックしておきます。
続けるための本当の条件
型を決めても、時間がなければ書けません。ここは正直なところです。
ただ、型があると書き始めるまでの時間が短くなります。止まる原因の多くは、書くことそのものではなく、書き出すまでの迷いにあります。
決めることを減らす。毎回考えることを減らす。続けるためにやるべきなのは、たいていその手の地味な整理です。
私は、書く担当を一人に固定しないことも勧めています。型が決まっていれば、書く人が替わっても形は揃います。むしろ替わったほうがいい。挟む場面が変わるので、記事の幅が出ます。一人が抱えると、その人が忙しい月にまるごと止まります。
もうひとつ、私が事業所に伝えているのは、月に何本という約束を先に立てないことです。数を決めると、達成できなかった時点で気持ちが折れます。型を決めて、書ける時に書く。続いている事業所は、だいたいそういう回し方をしています。
まとめ
事業所のブログが続かないのは、ネタ切れではなく、書く順番が毎回ゼロから始まっているからであることが多いです。
困りごと、答え、理由、場面、もう一度答え。この順番を固定してみてください。誰に向けて書くかも先に決めておく。
決めることが減れば、書き出しが軽くなります。続くかどうかは、たいていそこで決まると私は思っています。
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