職員向けのAI勉強会は、講義ではなく作業会にする

AIを事業所の仕事に取り入れたいと考えたとき、多くの管理者がまず思いつくのが、職員向けの勉強会です。私も最初はそうでした。外から講師を呼んだり、資料を用意して説明したりして、AIで何ができるのかを伝える会を開きました。

ところが、勉強会が終わって1週間たっても、現場の仕事はほとんど変わっていませんでした。話は面白かった、という感想は返ってくる。でも、実際に使っている職員はいない。

振り返ってみると、原因ははっきりしていました。職員は話を聞いただけで、自分の手を1度も動かしていなかったのです。

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聞いただけでは、翌日の仕事は変わらない

講義形式の勉強会では、講師が見せる例は、たいてい講師の得意な仕事の例です。それを見て「すごい」とは思っても、自分の仕事にどう当てはめればよいかまでは、なかなか結びつきません。

さらに、AIの道具は、実際に触ってみて初めてわかることがたくさんあります。どう頼めば思った答えが返ってくるか。どこで間違えやすいか。こればかりは、自分で試してみないと身につきません。

そこで私たちは、勉強会のやり方を変えました。講義をやめて、作業会にしたのです。

作業会は、自分の仕事を持ち寄る

作業会の決まりは1つだけです。参加する職員は、自分がふだんやっている仕事を1つ持ってくること。

たとえば、行事のお知らせの文面を作る仕事。会議の議事メモを整える仕事。研修の報告書をまとめる仕事。どれも、毎月のように繰り返している仕事です。

その場で、自分の仕事をAIに手伝わせてみます。うまくいけば、その日から使える形が1つ手元に残ります。うまくいかなければ、何がうまくいかなかったのかを、その場で一緒に考えます。

当日の流れ

作業会の時間は、説明を短く、手を動かす時間を長く取ります。私たちは次のような流れで開いています。

最初に、使い方の基本だけを短く伝えます。頼み方のコツと、やってはいけないことの2点に絞ります。ここで長く話すと、講義に戻ってしまいます。

次に、それぞれが自分の仕事に取り組む時間を取ります。進め方がわからない人、途中でつまずいた人のところへ、慣れている職員が回って手伝います。

最後に、何人かに「自分の仕事で試してみてどうだったか」を話してもらいます。うまくいった例も、うまくいかなかった例も、どちらも参加者全員の学びになります。

慣れている職員を、手伝い役にする

作業会を回すうえで欠かせないのが、手伝い役の職員です。特別に詳しい人でなくても構いません。少しだけ先に触っている職員が、横について一緒に画面を見るだけで、つまずきはかなり解消されます。

これには、もう1つよい面があります。手伝い役を務めた職員は、人に教えることで、自分の理解も深まります。事業所の中に、AIについて相談できる人が少しずつ増えていくのです。

うまくいった形は、事業所みんなの財産にする

作業会で生まれた「うまくいった形」は、その職員の手元だけに置いておくのはもったいないものです。どんな仕事に、どう頼んだら、どんな結果が返ってきたのか。これを短くまとめて、事業所の中で職員がいつでも見られる場所に置いておきます。

たとえば、行事のお知らせの下書きを頼むときの頼み方や、会議のメモを整えるときの頼み方。こうした頼み方の見本が少しずつたまっていくと、次に同じ仕事をする職員は、1から考えずに済みます。新しく入った職員にとっても、よい手本になります。

まとめる形式は、簡単なもので構いません。仕事の名前、頼み方、気をつけること。この3つが書いてあれば十分です。作業会の最後の数分を、その日にうまくいった形を書き残す時間にあてておくと、自然と見本が増えていきます。

持ってきてはいけない情報

作業会で使う材料には、1つだけ注意が要ります。利用者さんの氏名や、支援記録のような個人に関わる情報は、AIに入力しないこと。練習では、名前を伏せた文面や、架空の例に置き換えて使います。この決まりは、作業会の最初に毎回伝えるようにしています。

1回で終わらせない

作業会は、1回開いて終わりにしないことが大切です。月に1度でも続けていると、前回うまくいかなかった仕事に、もう1度挑戦する人が出てきます。前回の作業会で作った形を、別の職員がまねして使い始めることもあります。

続けるこつは、準備を軽くしておくことです。会場は事務所の机で構いませんし、特別な資料も要りません。持ち寄る仕事を前日までに1つ決めておくように声をかけるだけで、当日はすぐに手を動かし始められます。管理者自身も、参加者の1人として自分の仕事を持ち寄ると、職員も気軽に試せる雰囲気になります。

講義は知識を渡す場ですが、作業会は、使える形を現場に残す場です。まずは次の会議の後半を少しだけ使って、自分の仕事を1つ持ち寄る時間を作ってみてください。

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中山博之(ニタ)/ニタ@AIと会社を経営する55歳
会計ソフト会社に29年、社長業は19年目。中小企業の現場で生まれた仕事の仕組みを、AI時代向けに作り直しています。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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