税理士・社労士・行政書士などの事務所では、電話が鳴るのは面談や書類作成の最中です。出られなかった着信が、そのまま新しいご相談の取りこぼしになります。ここでは、初回相談の予約を取る電話を、AIに任せる範囲を整理します。
任せるのは「予約の入り口」だけ
AIが担うのは、相談の予約日時の候補を聞くことと、相談のおおまかな分野(税務・労務・登記など)の確認までです。相談の中身を聞き出すことは、AIにさせません。
士業は守秘義務を負う仕事です。電話口で具体的な金額や社員の事情を話し始める方もいますが、AIには受け止める役目だけを持たせ、内容は記録しない台本にします。
任せる範囲と、人が持つ範囲
AIの範囲は次の4つです。
- 名乗りとAIであることの開示
- 相談の分野(大きな区分だけ)
- 面談かオンラインかの希望
- 空き日程の候補の提示と、折り返し連絡先の確認
人が持つのは、事案の評価、手続きの可否、費用の説明、依頼を受けるかどうかの判断です。「それは先生にお聞きください」と言う場面は、通話の最初から決めておきます。
台本の骨子
- 名乗り「○○事務所の電話受付のAIです。ご相談のご予約でしょうか」
- 分野「どの分野のご相談か、大きな区分だけ教えてください。細かい内容は、面談でお伺いします」
- 日程「今週と来週の空いている枠を、2つずつご案内します」
- 確認「折り返しのお電話の番号は、この番号でよろしいですか」
「細かい内容は面談で」と、毎回同じ言葉で線を引きます。守秘の観点から、記録には分野と希望日時だけを残します。
私たちが自社の試験に使った営業の電話の台本(2026年10月3日・v02)では、質問への答え方を「1回だけ1文で答え、2回目の質問が来たら担当からの折り返しにして終える」と決めました。費用を聞かれても数字は言わず、「ページに載せています」とだけ返します。答えてよい回数と文を先に決めておくと、AIが説明を重ねていくことがありません。
止める条件
- 相手が急ぎの事案(期限が迫る手続き、トラブルの渦中)を訴えたとき
- 他の士業との比較や、費用の相談から入られたとき
- 断りや、人への切り替えの希望があったとき
期限が迫った相談は、AIの予約枠に乗せず、事務所の人が先に折り返す決まりにしておくと安心です。
よくある迷いと、決めておくこと
「簡単な質問なら、AIが答えてもよいのでは」という迷いが出ます。士業の仕事では、簡単に見える質問ほど、前提によって答えが変わります。AIには答えさせず、「面談で確認します」に統一しておくほうが、結果として誤りが少なくなります。
もうひとつは、予約の枠を何本までAIに預けるかです。最初は、1日に1〜2枠だけを預け、事務所の人が空きを確かめてから確定します。預ける枠は、慣れてから増やしてください。
試し方
事務所内で、依頼者役を立てて試しの通話を録ります。確かめ方は、文字起こしを目で読むのが確実です。私たちがお店あての案内の台本を試した4回(2026年10月3日・Web通話)では、費用・納期・他店の名前を、AIは1回も口にしませんでした。決めていない話題を自分から出していないかは、こうして1本ずつ読めば分かります。「分野が分からない」「複数の分野にまたがる」といった答えにも、AIが無理に分類せず「面談で確認します」と受けるかを見ます。
最初の運用は、営業時間外の着信だけに限ります。翌朝、人が記録を見て折り返す。この往復で、台本の穴を拾ってください。試しの通話を数本録って測る方法は、声と応答の速さを測る話の手順が使えます。
AI電話を、自分の会社の業務に合わせて試したい方へ
電話の受付や折り返しをAIに任せる前に、何を任せて何を人が持つかを決める。問い合わせの受け口から記録まで、小さな営業導線を自分の手で作る実務講座を開いています。オンラインで30分の無料個別相談から始められます。
運営: 株式会社トレジャーハンティング