AIに頼むと、それらしい物はすぐ出てきます。けれど頼むたびに、会社のこと、商品のこと、いつものやり方を一から説明していませんか。書類はパソコンのどこかにあるのに、どこにあるかは自分しか知らない。メモはスマホと紙とアプリにばらばら。この記事では、会社の知識を1つのフォルダにため、AIエージェントに「第2の脳の○○を見て、△△を作って」と頼めるようになるまでの手順を書きます。
第2の脳は、頭の外に置くもう1つの記憶
第2の脳とは、自分の頭の外に置く、もう1つの記憶の置き場です。僕は自分の知識を、Obsidian(オブシディアン)という道具にためてきました。パソコンの中のフォルダに、ただの文字のファイルとしてメモをためる道具です。
置き場は、最初からObsidianだったわけではありません。Evernote、Notionと渡ってきました。Evernoteは約4GBになって、動かなくなってしまいました。そこで、軽い文字のファイルで大量にためられるObsidianへ移りました。始まりは、ある教材を買ってObsidianを入れ、フォルダに「セカンドブレイン」と名前を付けたことです。2026年1月には、AIエージェントのAntigravityとObsidianを組み合わせるセットアップを、数日がかりで終えました。本のスキャンや自分の書いた文章を入れて、AI口調ではなく自分の口調で資料を書かせる。昔、本を裁断してスキャンしていた頃から、ずっとやりたかったことでした。
つまずきもありました。Obsidianが読むのは .md という形式のファイルだけだと、最初は気づかなかったのです。.txt の名前の末尾を .md に変えて取り込みました。
覚える脳から、考えるのを助ける脳へ
1か月ほどで、第2の脳は「覚えておく脳」から「考えるのを助けてくれる脳」に変わりました。僕はそれを電動アシスト自転車にたとえています。小さな力でもスピードが出て、坂も登れます。2026年3月には約5GBになり、仕事別・お客様別にたまった資料から、記事や提案書を書かせていました。「前提条件を教える必要がどんどんなくなる」。これが一番楽になった所です。
転機もありました。2026年の2〜3月、AIのClaudeは「パソコンの中のファイルにはアクセスできません」と断り続けました。僕は遠回りのしくみを作ってしのぎました。ところが4月、AIが僕の第2の脳を直接読み書きできると確かめられました。権限は最初からあり、できないのはAIの思い込みでした。8月には置き場所を決めました。今動いている作業はクラウド、過去の保管はObsidian。変わる物と、凍った物を分けたのです。そして10月、あるお客様に、この作り方を手順書にして渡しました。Obsidianはただのフォルダなので、AIエージェントがそのまま読めるからです。
第2の脳を作る手順
ここからは、同じことを自分の会社で始めるための手順です。最初は40分ほどを見てください。
1. 保管庫の中に、5つのフォルダを作る
最初はこの5つだけで十分です。AIエージェントに「この5つのフォルダを作って」と頼んでも構いません。
- 01_会社のこと: 会社の概要・商品・よく聞かれる質問
- 02_見本: 良かった企画書、お礼のメールなどの見本
- 03_手順: 月末の請求、新人に教えることなど、くり返す仕事のやり方
- 04_記録: 議事録や、決めたこと
- 05_頼み方メモ: うまくいった頼み方
置き場所は、会社の資料をまとめている保管庫の中です。OneDriveの外に置くほうが無難です。
2. 会社案内と見本を入れる
会社案内やホームページの文を「01_会社のこと」に入れます。これまでに作った良い書類を「02_見本」に、会議の議事録を「04_記録」に移します。大事なのは、AIエージェントが読める1つのフォルダに、文字のファイルでためることです。
3. 「第2の脳を見て」で頼んでみる
AIエージェントに、次のように頼みます。
「01_会社のことを読んで、うちの会社を知らない人向けの紹介文を200字で。書いていないことは作らないで」
会社の事情を説明しなくても、会社に合った紹介文が出てきたら、第2の脳が動き始めています。
4. くり返す仕事を1つ、手順書にする
よくくり返す仕事を1つ選び、口で説明します。録音でも構いません。それをAIに渡して、「03_手順」に手順書として書かせます。手順書が1つあるだけで、次から同じ仕事を頼むのが楽になります。
5. 頼み方の型を決めて、使うほど育てる
ふだんの頼み方は、この型にしておきます。
「第2の脳の01_会社のことと02_見本を読んでから、(仕事)をして。第2の脳に書いていないことは、作らずに質問して。終わったら、うまくいった頼み方を05_頼み方メモに1行で残して」
最後の1文で、使うほど第2の脳が育っていきます。
気をつけることと、つまずいた時の直し方
まず、入れない物を決めておきます。パスワードと、お客様の個人の情報は入れません。そのうえで、つまずきやすい所と直し方を挙げておきます。
- AIが「ファイルにアクセスできません」と言う: アプリでそのフォルダを開いているか確かめます。開いていても言うなら、「このフォルダの一覧を出して」と頼んでみます。僕の時と同じ思い込みのことが多いです
- 関係ない物を読んでしまう: 頼む文に、読むフォルダを名指しで書きます
- 古い情報を使ってしまう: 古くなった物は「99_昔の物」フォルダへ移します。消さずに、場所で分けます
- 社員と共有したい: 共有の方法は会社ごとに違います。まずは社長1人で回してからにします
- Obsidianの画面が難しい: 使わなくて構いません。エクスプローラーで見えるフォルダだけで、AIエージェントは十分に使えます
今から始める社長へ
正直に書くと、Obsidianを使い始めた頃の感動を、僕自身は忘れていました。録音をさかのぼって、あれほど感動したことを忘れていたと気づいたほどです。それくらい、今では当たり前の道具になっています。
道具はObsidianでなくても構いません。最初から立派な仕組みも要りません。5つのフォルダを作り、会社案内を1つ入れて、「第2の脳を見て」と頼んでみてください。会社の事情を毎回説明しなくてよくなると、発信の仕事が一気に楽になります。
この記事の段取りを、自分の会社で回せるようにしたい方へ
音声メモから投稿文を作る、地図検索とSNSを整える、問い合わせをフォームで受けて一覧で管理する。集客から受付までの「小さな営業導線」を、AIを使って自分の手で作る実務講座を開いています。オンラインで30分の無料個別相談から始められます。
運営: 株式会社トレジャーハンティング