不動産会社がAIを使い始める最初の30日——週ごとにやること

AIを使いたいと思っても、不動産会社の仕事は幅広く、どこから始めるかで迷います。マイソク、電話、内見の予約、記録、請求書、名簿。全部を一度に変えようとすると、どれも中途半端に終わります。

私たちは問い合わせから内見、商談、成約、その後のフォローまでの10の機能を、検証用の口座で試作しました。その経験から、始める順番についてわかったことがあります。この記事では、最初の30日を4週に分けた段取りをお伝えします。

目次

第1週:自社の「いつもの形」を集める

最初の週は、AIを動かしません。集めるだけです。

  • マイソクの完成見本を、マンションと戸建てで1枚ずつ(所有者の名前は伏せる)
  • 請求書のひな形
  • 問い合わせが届く入口の一覧(電話、メール、フォーム、メッセージのアプリ)
  • 物件の状況を、誰がどこに記録しているか

特に完成見本は、載せる項目と載せない項目が一度にわかる、いちばんの材料です。AIの出来は、この「いつもの形」をどれだけ集められたかで決まります。

第2週:問い合わせを、一か所に集める

次の週は入口をそろえます。電話、メール、フォーム、メッセージのアプリ。入口が別々でも、記録は同じ場所に入るようにします。ここが整っていないと、あとの内見予約も、追客も、記録が散らばってしまいます。

お客様の記録の項目も、この週に決めます。区分(買主、売主、投資家、紹介)、エリア、予算、時期。試作では項目を絞って、必要な数だけにしました。項目が多いほど、入力が続かなくなるからです。

第3週:内見の予約と、前日の確認をつなぐ

3週目に内見の予約の流れを作ります。予約が入ったら、担当者と日時を記録して、前日と2時間前に確認の連絡が出る形です。ただし最初は「下書き」の状態で組み、お客様へは何も届かない形にしておきます。画面の警告を確かめ、自分たちで文面を声に出して読んでから、動かす判断をします。

第4週:1つだけ、実際に動かす

4週目はここまで整えた中から、1つだけを選んで動かします。選ぶ基準は、間違えても取り返しが付くことと、担当者の手間が確実に減ることです。たとえばマイソクの下書き、商談の録音から日報、手書き伝票の読み取りは、お客様へ何かが届く操作ではないので、動かしやすい部類です。逆にお客様へ自動で連絡が飛ぶ流れは、あとの段にします。

「送る手段」で、何度も詰まった

10機能を試作して、いちばん多く詰まったのは、手段の問題でした。電話の自動対応も、内見のリマインドも、掘り起こしの連絡も、「SMSで送る」を想定した段で止まりました。050で始まる番号からは、SMSを送れなかったからです。

そのため始める前に、次の2つを決めておくことをお勧めします。

  • お客様へ連絡する手段(メール、SMS、LINE、電話)のうち、実際に使える物はどれか
  • 電話番号は、SMSを送れる種類を選んでいるか

この2つが決まっていないと、流れを組んでも、最後の一歩が動きません。

動かす前に、人が決めること

お客様へ何かが届く流れは、動かす前に人が承認します。送り先、文面、時刻、止める条件。この4つを、担当者と社長が一緒に確かめてから、動かし始めます。最初の30日で動かす物は、少なく、小さくて構いません。

30日で見る3つの数字

効果を確かめるために、数える物を3つだけ決めておきます。

  • 1件のマイソクや日報にかかる時間
  • 問い合わせから最初の返事までの時間
  • 出られなかった電話のうち、折り返しまでにかかった時間

導入の前に1週間数え、30日後にもう一度数えます。数字が動いていなければ、続けるか、見直すかを、社長が判断できます。数えるだけなら、特別な道具は要りません。

最初にやらないこと

次のことは、最初の30日では避けます。

  • すべての機能を同時に動かす
  • お客様へ自動で連絡が飛ぶ流れから始める
  • 完成見本を集める前に、AIの設定を始める

最初の30日の目的は、全部を自動にすることではなく、小さく動かして、効果を確かめることです。

社長が見る場所

最初の30日の間、社長が見るのは、細かい設定ではありません。週に1回、15分だけ、その週に動いた物と、止まった物を確かめます。止まった物があれば、その理由を担当者に聞きます。理由の多くは、使う手段が無かったか、元の資料が足りなかったかのどちらかです。技術的な問題より、準備の問題のほうが多いと、試作の中で感じました。

試作の実測

検証用の口座で、10の機能を、9月28日の時点では、動く形まで組めたものが2つ、一部が5つ、まだ無いものが3つでした。翌日の9月29日には、動く形まで組めたものが7つ、一部が3つ、無いものが0になりました。残った一部の3つは、すべて「SMSを送れない」ことが共通の詰まりでした。ただし組んだ流れはすべて下書きで、実際に流した試験は、見込みの点数の式と、経営用の1枚の画面だけです。

次に読む

全体の地図は10本の地図に、最初に整えるマイソクの記事から読み進めてください。

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中山博之(ニタ)/ニタ@AIと会社を経営する55歳
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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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