事故やけがの報告書を、事実の時系列から整える——AIの下書きの使い方

利用者さんがけがをしたとき、送迎中にヒヤリとしたとき。報告書を書く場面は、気持ちが動揺していて、落ち着いて書くのが難しいものです。

私たちの事業所は、静岡県東部で就労継続支援B型を運営し、送迎も行っています。この記事では、事故やけがの報告書を、事実の時系列から整える方法を、AIの下書きの使い方を中心にお伝えします。

目次

動揺した直後の報告書の、よくある問題

報告書を急いで書くと、起きた事実と、書く人の推測が混ざります。「不注意で転んだ」と書いても、不注意だったかどうかは、書く人の判断です。見ていたのは「転んだ」という事実だけかもしれません。

推測が混ざった報告書は、原因を探すときに、誤った方向へ導くことがあります。事実を中心にして、判断は別に書くことが、報告書の基本です。

まず、メモを時刻順に書き出す

最初にやることは、文章を整えることではありません。覚えていることを、時刻の順に、短い言葉で書き出します。

  • 何時ごろ、どこで
  • 誰が、何をしていたか
  • 何が起きたか
  • 誰が気づき、何をしたか
  • そのあと、どうなったか

文章になっていなくて構いません。書き出す順番は、思い出した順でも構いません。あとでAIが時刻順に並べ替えます。

AIに、事実だけの下書きを頼む

書き出したメモを、個人が特定できないように伏せて、AIに渡します。名前は「利用者A」「職員B」のような記号にします。

そのうえで頼みます。

  • メモを、時刻の順に並べてください
  • 事実として書かれていることだけを、報告書の文章にしてください
  • 推測や感想が書かれている部分は、別の欄に分けてください
  • 書かれていない情報は、補わないでください

「補わないでください」が、とくに大切です。AIは、抜けている部分を、状況から推測して埋めようとすることがあります。事故の報告で、書かれていない事実が足されることは、避けなければいけません。

事実と推測を分けた表にする

AIが出した下書きを見ながら、表にします。

  • 左の列は、事実(見たこと、聞いたこと、した対応)
  • 右の列は、推測や感想(そう思った理由、気になった点)

事実の列は、できるだけ具体的に書きます。「利用者Aが、玄関の段差でつまずいた」のように、誰が、どこで、何をしたかが分かる文にします。推測の列は、原因を考える材料として残します。

当事者の言葉を、確かめる

報告書には、その場にいた職員の記憶が反映されます。複数の職員がいた場合は、それぞれのメモを集めて、食い違いを確かめます。食い違いがあれば、無理に1つにまとめず、「Aさんはこう見た、Bさんはこう見た」と並べて書きます。

AIに複数のメモを渡して「食い違いのある点を挙げてください」と頼むと、確かめる項目が見つかります。

報告書の最終的な判断は、人が行う

報告書の内容は、事業所の責任で作るものです。AIが整えた下書きは、書いた職員と、管理をする立場の人が、すべて読んで確かめます。ご家族への連絡や、関係する機関への報告の要否は、事業所の決まりと、公表されている案内に従って、人が判断します。判断に迷うときは、窓口に確かめます。

責めるための報告書にしない

報告書の目的は、誰かを責めることではなく、同じことが起きないようにすることです。書き方に「誰が悪かったか」の空気が出ると、職員は次から事実を隠したくなります。

事実と推測を分けて、原因は仕組みの中で探す。その姿勢が、報告書の書き方に出ます。ヒヤリとした場面を集めて、月に1度見る方法は、ヒヤリハットの記事で紹介しています。

再発を防ぐ話し合いに、下書きを使う

報告書ができたら、再発を防ぐ話し合いを行います。話し合いの前に、事実の列だけを全員に配り、「この事実から、気づくことは何か」を、各自に考えてもらいます。

AIには、「この事実の流れの中で、確かめておきたい点を、質問の形で挙げてください」と頼むことができます。「段差の照明は点いていたか」「その時間に、何人の職員がいたか」といった質問が出てきます。質問の答えを、現場の人が確かめて、対策を決めます。

ご家族に伝える内容は、人が決める

事故やけがについて、ご家族に伝える内容と時期は、とても繊細な判断です。伝える文面の下書きをAIに頼むこともできますが、何を、いつ、誰が伝えるかは、管理者が決めます。事実と、これからの対応を、誠実に、順を追って伝えます。推測を事実のように伝えないことが、信頼を守る基本です。

書き慣れるための練習も使える

報告書は、書く機会が少ないほど、書くのが難しくなります。過去の事例を、個人が特定できない形に直し、時系列に並べる練習を、研修で行います。AIに下書きを作らせ、職員どうしで、事実と推測の分け方を見比べると、書く力が育ちます。

記録の置き場所と保管

事故の報告書には、利用者さんの情報が含まれます。置く場所と、見られる人を決め、AIに渡すメモの記録は残さない決まりにしておきます。

まずは、次に報告書を書く場面で、書き出しのメモを時刻順に並べるところだけ、試してみてください。それだけでも、事実がすっきり見えてきます。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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