マイソクに何を載せるかは、会社ごとに長年の運用で決まっています。ただ、その決まりは担当者の頭の中にあることが多く、AIに下書きを頼むときに、そのままでは伝わりません。
私たちは、マイソク作成の試作を組む前に、載せる項目を表にして整理しました。この記事では、項目を3段階に分ける考え方と、段階ごとの空欄の扱いをお伝えします。
3段階に分ける
すべての項目を、次の3つに分けます。
- ないとマイソクにならない項目(必須)
- 取れたら載せる項目(できれば)
- 会社の書き方に合わせて足し引きする項目(任意)
分ける目的は、空欄が出たときの動きを変えるためです。必須の項目が空欄なら、下書きを出さずに止めます。できればの項目が空欄なら、空欄のまま出して、確認の一覧に1行足します。任意の項目は、無ければ載せません。
項目表のひな形(項目・段階・空欄のとき・元資料)
項目表を作るときは、項目名だけでなく、段階と空欄のときの動き、そしてどの元資料から読み取るかをセットで整理します。
- 項目名:マイソクに載せる個別の情報
- 段階:必須、できれば、任意の3段階
- 空欄のとき:出力を止めるか、空欄のまま出して確認するか、載せないか
- 元資料:どの書類から自動で取り出すか
この表をあらかじめ組んでおくことで、AIが資料を読み込むときの迷いをなくすことができます。
空欄にしてはいけない項目の例
必須の項目には、書き忘れると困るものが並びます。
- 物件種別:マンションか戸建てかで、使う項目の組が変わります
- 取引態様:売主、代理、専任媒介、一般媒介の別。広告に明示する決まりがある項目なので、未記入のまま出さないようにします
- 所在地、交通、案内図、間取り、面積、築年月
- 告知事項:無いなら空欄ではなく「なし」と書く。空欄だと、無いのか確認していないのか分かりません
- 写真:外観1枚と室内2枚以上を目安に、枚数で枠を変えます
- 会社の枠:会社名、免許番号、所在地、連絡先、担当者
最後の会社の枠は、物件ごとに入力させません。会社ごとの設定から自動で入れます。毎回打ち込むと、担当者によって表記がずれるからです。
手で入れさせない項目
自動で計算できる項目は、手入力の欄を作りません。
- 情報提供日と次回の更新予定日:作成日から自動で入れます。古い資料が出回るのを防ぐ目的もあります
- 表面利回り:年間の賃料を売買の金額で割った値。賃料と売買の金額から計算して出します
- 築年数、新築や築浅の区分:築年月から計算します
人が打ち込む欄が多いほど、入力のたびに間違いが入り込みます。計算で出せる値は、計算で出します。
空欄が出たときの動きを決める表の例
現場では、資料が一部欠けているケースも起こります。そのときにどのような動きをするかを、表のようにあらかじめ決めておきます。
- 必須項目が空欄の場合:不動産会社の社長が、AIで軽くできる仕事の地図——マイソク・電話・内見・記録・請求書・鍵の解説でも触れている通り、そのまま進めると大きなミスにつながるため、資料の不足を検知した時点で出力の処理を完全にストップします
- できればの項目が空欄の場合:出力自体は止めずに進めますが、人間が後から確認できるようにチェック用のリストへ該当行を書き加えます
- 任意の項目が空欄の場合:そのまま記載せずに省きます
このように分岐のルールを固定することで、作業の属人化を防ぎ、トラブルを予防できます。
物件の状況が「成約済み」なら、出さずに止める
状況の欄は、販売中、商談中、成約済みの3つにします。成約済みの物件は、マイソクを出力せずに止める作りにしました。成約したあとの資料が、出回り続けるのを避けるためです。仕組みで止めておけば、担当者の注意力に頼らずに済みます。
住所は2種類ある
所在地には、住居表示と、謄本に書かれた地番の2種類があります。同じ場所でも、数字が違います。戸建てや土地では、地番が必須になります。2つを別の欄に分けておくだけで、混ざる事故が減ります。
また、所在地を町名までで止めるか、番地まで出すかは、物件ごとの公開範囲で決めます。売主の意向で変わるため、最初の1枚の紙に「公開範囲」の欄を設けました。
人によって答えが割れる所
項目表の作成中に、会社や担当者によって答えが割れる論点が4つ見つかりました。
- マンションの面積を、壁芯と登記のどちらで主に載せるか
- 利回りを、表面だけにするか、実質も載せるか
- 入居者の情報を、どこまで載せるか(私たちの試作では、法人か個人かと入居年数まで。氏名や勤務先は書かない)
- 地図を、どの出典で出すか
この4つは、試作では仮の側に決めてあります。実際の会社に合わせるときは、その会社の完成見本を見て決め直します。AIの側に正解があるのではなく、その会社の運用が正解です。
物件の種別ごとに、足す項目が変わる
共通の項目に、種別ごとの項目を足します。
- マンション:所在階と階数、管理費、修繕積立金、総戸数、管理の形態、敷地権の持ち分、規約上の制限(ペット、楽器、事務所使用など)
- 賃貸中のマンション(オーナーチェンジ):現行の賃料、敷金の引き継ぎ、契約の形と更新日、入居者が法人か個人か
- 戸建て:土地面積と、公簿か実測か、私道の持ち分、地目、土地の形、境界の状況
マンションでは、建物全体の管理の資料を読み込む項目が増えます。戸建てでは、土地の資料(謄本、公図、測量図)から読み取る項目が増えます。種別によって、どの元資料を用意するかも変わります。
種別ごとに用意する元資料の一覧
AIに正確な下書きを作ってもらうためには、物件の種別ごとにあらかじめ必要となる元資料を揃えておく必要があります。
- マンションの場合:分譲時のパンフレット、管理規約の写し、直近の総会議事録、重要事項説明書の控え
- 戸建て・土地の場合:全部事項証明書、地積測量図、公図、建物図面、建築確認通知書
- 共通で使う資料:売却依頼書(媒介契約書)、物件確認書、間取り図のラフ案、現地写真のデータ
これらの元資料を最初から決まった場所に用意しておけば、スムーズに情報を読み取らせることができます。
会社の完成見本と見比べて項目表を直す手順
項目表を運用に乗せるためには、自社ですでに使っている完成見本との突き合わせが欠かせません。
- 自社の過去の代表的なマイソク完成見本を数枚集める
- 作成した項目表の必須・できれば・任意の分類と、完成見本の記載を見比べる
- 見本にいつも載せているのに任意になっていた項目があれば、必須やできればへ格上げする
- 逆に、見本でほとんど使われていない項目があれば、表から外すか任意へ下げる
この見比べ作業を繰り返すことで、実際の業務にぴったり合う項目表へと精度を高めることができます。
項目表は、作って終わりにしない
項目表は、作った時点では、あくまで仮の案です。完成見本と並べて、載せている項目と載せていない項目を見比べるたびに、重要度の段階は動きます。必須だと思っていた項目が、実は任意だったり、任意だと思っていた項目が、お客様からよく聞かれる項目だったりします。表を直すたびに、下書きの精度が上がっていきます。
試作の実測
項目表は、共通33項目、マンション34項目、戸建て25項目の計92項目で、必須が40項目、できればが35項目、任意が17項目でした。項目を分けたことで、元資料から取り出せなかったときに、止めるのか、空欄で出すのか、載せないのかを、項目ごとに先に決められるようになりました。この分け方を使った下書きの流れは、マイソクの下書きの記事に書いています。
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