送迎の乗車表の組み直しを、AIに相談しながら進める

送迎のある事業所では、乗車表の組み直しが小さくない仕事です。新しい利用者さんが加わる、通所の曜日が変わる、車が1台点検に入る。そのたびに、誰をどの車で、どの順番で迎えに行くかを考え直します。

私たちが静岡県東部で運営している就労継続支援B型の事業所「フェイス・トゥー・フェイス」も、いくつかの駅や市役所の前を回る送迎をしています。乗車表を組むのは、いつも同じ職員の頭の中でした。この記事では、その組み直しをAIに相談しながら進めるやり方をお伝えします。

目次

頭の中にある条件を、まず書き出す

乗車表を組むのが特定の職員にしかできない理由は、条件が頭の中にしかないからです。AIに相談する前に、その条件を書き出します。この作業だけでも、引き継ぎの助けになります。

書き出すのは、たとえば次のようなことです。

  • 車の台数と、それぞれの乗れる人数
  • 運転できる職員と、その曜日
  • 迎えに行く場所と、場所どうしのおおよその移動時間
  • 利用者さんごとの通所の曜日と、迎えの場所
  • 事業所に着いていたい時刻

それに加えて、表には出にくい条件もあります。「この2人は同じ車にしない方が落ち着く」「この方は乗り降りに時間がかかるので、最初か最後に」といった配慮です。こうした条件は、記号に置き換えたうえで書いておきます。

名前と住所は渡さない

AIに渡すときは、利用者さんの名前や住所は使いません。名前は「Aさん」「Bさん」のような記号に、迎えの場所は「駅の北口」「市役所の前」のように、事業所が決めた乗り場の呼び名にします。自宅まで迎えに行く場合も、「乗り場1」のように番号で表します。

記号と本人、乗り場と実際の場所の対応表は、事業所の中だけで持ちます。AIが見るのは、記号と数字の組み合わせだけです。

頼み方の型

条件を書き出したら、AIに案を出してもらいます。頼み方は、次のような形です。

  • 上の条件で、月曜から金曜の朝の送迎の乗車表の案を作ってください
  • 車ごとに、回る順番と、各乗り場に着くおおよその時刻を表にしてください
  • 条件を満たせないところがあれば、どの条件が満たせないかを書いてください
  • 案は2つ出して、それぞれの良い点と気になる点を添えてください

3つめが大事です。条件をすべて満たす案がないこともあります。そのとき、AIが黙って条件を外した案を出すと、気づかないまま使ってしまいます。満たせない条件を書き出してもらえば、人が「この条件はゆるめてよいか」を判断できます。

出てきた案を、人が確かめる

AIの案は、そのまま乗車表にはしません。確かめるのは次の点です。

  • 移動時間が現実的か。朝の渋滞や、雨の日の遅れを見込んでいるか
  • 配慮の条件が守られているか
  • 運転する職員の負担が、特定の人に偏っていないか

移動時間は、AIにとっていちばん苦手なところです。書き出した「おおよその移動時間」をもとに計算するので、元の数字が甘ければ案も甘くなります。地図の道具で実際の所要時間を確かめるか、運転している職員に聞いて直します。

変更が出たときに、すぐ組み直せる

この方法のよいところは、変更が出たときです。条件を書き出した紙があれば、変わったところだけを直して、もう一度AIに案を出してもらえます。担当の職員が休みの日でも、ほかの職員が組み直せます。

ただし、組み直した乗車表を利用者さんやご家族に伝えるのは人の仕事です。時刻が変わる方には、変わる理由と新しい時刻を、分かりやすい言葉で伝えます。急な変更は、電話だけでなく、文字で残る連絡も添えると、聞き違いが減ります。

帰りの便も同じ考え方で

ここまで朝の迎えを例にしましたが、夕方の送りも同じ考え方で組めます。ただ、帰りは朝より条件が増えます。通院のために早く帰る方、作業の区切りで少し残る方、ご家族の迎えに切り替える日がある方。こうした日ごとの違いは、曜日ごとの条件として書き出しておきます。

朝と帰りを別々に組むと、同じ職員が朝も夕方も運転することになり、負担が偏ることがあります。AIに頼むときは、朝と帰りをまとめて渡し、「運転する職員の回数が偏らないように」と一言添えると、全体を見た案が出てきます。

決めるのは、送迎を知っている人

AIに相談すると、乗車表を組む時間は短くなります。けれど、乗車表を決めるのは、送迎の現場を知っている職員です。どの道が朝混むか、どの乗り場は車を止めにくいか、どの利用者さんがその日どんな様子か。こうした知識は、紙に書き出しきれません。

AIは、組み合わせを考える手間を減らしてくれる相談相手です。考える手間が減ったぶん、職員は「この案で利用者さんが落ち着いて通えるか」を考えることに時間を使えます。

年に1度、条件の紙を見直す

最後に、書き出した条件の紙は、年に1度は見直します。迎えの場所が増えたり、車が替わったりすると、紙が古くなります。古い条件で案を作ると、もっともらしいのに使えない乗車表ができてしまいます。見直しの時期は、年度の始まりや、利用者さんの入れ替わりが多い時期に合わせると忘れません。

この10本の全体の地図はAIに任せる仕事と任せない仕事の記事に、名前や住所の伏せ方は利用者さんの情報をAIに入れる前の記事にまとめています。

まずは、いまの乗車表を組むときに考えている条件を、紙1枚に書き出すところから始めてみてください。

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中山博之(ニタ)/ニタ@AIと会社を経営する55歳
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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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