AI電話の最初の台本は、たいてい長くなります。伝えたいこと、確認したいことを全部入れたくなるからです。しかし、電話の相手は、画面を見ているわけではなく、聞いた端から忘れていきます。長い台本は、相手が切ってしまう一番の原因です。
長くなる理由
台本が長くなるのは、書く人が「失礼のないように」と丁寧さを足していくからです。前置き、お詫び、会社の説明、用件、確認、お礼と並べると、用件にたどり着くまでに30秒以上かかります。人間の受付でも、そんなに長い前置きは付けません。
直し方の基本
- 1回の発話は、2文までにする
- 質問は、1回に1つだけ
- 会社の説明は、聞かれたときだけ話す
- 名乗りとAIであることの開示は、最初の1文にまとめる
「ご希望の日時と、お名前と、お電話番号を教えてください」のように、3つを一度に聞くのは避けます。1つ聞いて、答えをもらってから次に進みます。
私たちが自社の試験に使った台本(2026年10月3日・v02)では、「一度に話すのは2〜3文まで」「通話は120秒以内に締める」と書き、最初のあいさつへの返事が「どうぞ」なら60秒版、「手短に」「今忙しい」なら30秒版に切り替えます。迷ったら30秒版です。
締めの言葉を決めておく
もう1つ多い失敗が、締めたあとの余計な一言です。用件が終わったのに、「ほかにご用件はございますか」と足すと、相手は会話が続くと思い、もう一度話し始めます。私たちの試験通話(2026年10月3日・相手役は合成音声)では、送ってよいの回が94秒で、締めのあとに「何か他にご用件は」が入っていました。この一言を禁じる行を台本に足すと、2回目は89秒で、締めの言葉で終わりました。断りの回も、1回目は23秒で「ご不明な点があれば」を足し、台本を締めた2回目は19秒でした。どちらも1回ずつの比べで、縮んだのは足した一言の分です。締めの言葉は、台本の最後の行まで決めておきます。
長さを測るときの目安
台本の長さは、声に出して読んで測ります。目で追うより、声に出したほうが、実際の通話の長さに近くなります。最初の発話が10秒を超えるなら、削る候補です。自社の福祉事業所あての試験通話(2026年10月4日)では、名乗りとAIであることの開示だけで約10秒かかっていました。開示は外せないので、その後ろを短くします。相手が「はい」と一言返せる場所を、10秒ごとに1回は置くようにすると、会話のリズムが生まれます。
丁寧さと短さは両立する
短くすると失礼になるのでは、と心配する方がいます。しかし、電話での丁寧さは、言葉の数ではなく、相手の返事を待つ間や、聞き返しへの対応に出ます。言葉を削って、相手の返事を待つ時間を増やすほうが、丁寧に聞こえることが多いです。
台本を直す日を決める
台本は、一度書いたら終わりではありません。毎週決まった曜日に、記録の中から相手が途中で切った通話を数件選び、どこで切れたかを確かめます。切れた場所が同じなら、その前後の1〜2文を削るか、順番を入れ替えます。小さな直しを毎週続けるほうが、一度に大きく書き直すより、安定します。
確かめ方
直したら、社内の人に聞いてもらい、1通話が1分以内に終わるかを見ます。声と間の測り方は、AIに電話番を任せる前に、声と応答の速さを測る話に書いています。台本は、足すより削る方向で直すと、うまくいきます。
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