営業の担当者が外から戻って、日報を書く。商談の内容を思い出しながら、金額、日付、次にやること、約束した資料を、順に入力していく。このとき抜けやすいのが、細かい数字と、次回までの約束です。
私たちは、スマホで録音した商談を、文字起こしと要点の整理を経て、お客様の記録へ残す試作を組みました。この記事では、その流れと、人が確かめる場所をお伝えします。
流れは4つの段に分かれる
- 商談の録音をスマホから送る
- 音声を文字にして、要点を整理する(要点、決まったこと、次にやること、所感)
- この商談の相手が誰かの候補を出す
- 人が相手を確かめて、「合っています」を押したら、お客様の記録へ投函する
1から3は機械が行います。4だけは、人が行います。ここを人に残した理由は、後の節に書きます。
日報に残す項目は、5つに絞る
整理の形は、日報として読みやすいように、項目を固定しました。
- 要点:商談の話題を3つほど
- 決まったこと:合意した事項
- 次にやること:誰が、何を、いつまでに
- 所感:担当者が感じたこと
- 原文の所在:録音の置き場所
特に役立つのが「次にやること」です。期日が付いているので、そのまま担当者のタスクへ変えられます。また、原文の所在を残すことで、要約に疑問が出たときに、元の録音へ戻れます。
相手の取り違えを、人が止める
この流れで最も怖いのは、別のお客様の記録に、商談の内容が入ってしまうことです。たとえば同じ名前の方が2人いたら、機械には見分けがつきません。そこで、機械は相手の候補を出すだけにして、記録へ入れる前に、人が「この相手で合っている」と押す形にしました。
候補を出す手がかりは、予定表の参加者のメールアドレスと、録音の中に出てくる固有名詞です。どちらが手がかりになったかも一緒に表示するので、人は根拠を見ながら選べます。
録音するときの作法
録音は、相手のいる場面で行うものです。次のことを、運用の決まりにしておくことをお勧めします。
- 録音することを、相手に先に伝える
- 家族構成や健康のことなど、記録に残したくない話が出たら、録音を止める
- 録音と文字起こしの置き場所を決め、見られる人を限る
これは機械の話ではなく、会社の姿勢の話です。お客様の信頼にかかわるので、導入の前に社内で決めておきます。
記録のその先に、提案書をつなぐ
文字起こしが残っていれば、次の仕事にも使えます。打ち合わせの内容から、提案書や企画書の下書きを作る流れです。面談メモから企画書とページの下書きを作る試しのページでは、その様子を見られます。その場にいなかった方へ、要点を送るときにも使えます。記録を残す目的は、日報を埋めることではなく、次の動きを早くすることです。
文字起こしは、そのまま信じない
音声を文字にするとき、固有名詞や数字は、聞き間違いが起きやすい部分です。金額や日付、社名、人数は、日報へ入る前に、原文と見比べて確かめる習慣を付けます。試作では、日報に原文の所在(録音の置き場所)を残す決まりにして、疑問が出たらすぐに録音へ戻れるようにしました。要約は便利ですが、原文に戻れる道が残っていてこそ、安心して使えます。
使い続けられる形にする
日報の仕組みは、担当者が使い続けて初めて意味があります。録音は、スマホのボタン1つで始められること、録音を送るだけで終わることが大切です。日報にかかる時間を、導入の前と後で測っておくと、効果を確かめられます。担当者が「前より楽になった」と感じられなければ、仕組みを見直します。
録音が使えない場面の代わり
録音できない場面もあります。相手が嫌がる場合や、静かな場所で声を出しにくい場合です。そのときは、帰りの車の中や、駅のホームで、担当者が自分の言葉で1分ほど話して録音する方法もあります。要点を口に出すだけで、日報の材料になります。打ち込みよりも話すほうが速いという担当者は、多いはずです。録音の長さは1分から3分ほどで足りるので、保存の置き場も大きくなりません。話す内容は、誰と会ったか、何が決まったか、次に何をするか、の3つに絞ると、あとの整理も楽になります。
試作の実測
自社の試験として、商談を模した合成音声(約4分40秒)を使い、この流れを通しました。実際のお客様の録音は使っていません。音声は約22秒で処理され、文字起こしは1,466字、相手の候補は2件でした。候補から人が1件を選んで「合っています」を押すと、お客様の記録へ日報が投函され、記録の側から読み戻しても同じ本文が返りました。要点、決まったこと、次にやること、所感、原文の所在の5つが、期日つきで並びました。実際の通話の雑音や、複数人の会話での精度は、これから確かめます。
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