送迎のある事業所では、運転した職員が、走ったあとに日誌を書きます。出発と到着の時刻、乗った人数、道路の様子、気づいたこと。大切な記録ですが、運転で疲れたあとに書く日誌は、どうしても短くなります。
私たちの事業所も、駅や市役所の前を回る送迎をしています。この記事では、運転日誌を音声で残して、AIで日誌の形に整える方法をお伝えします。
日誌に残したいことを先に決める
何を書くかが決まっていないと、音声で話しても内容が散らばります。次の項目を事業所の決まりにしておきます。
- 日付、運転した職員、使った車
- 出発と到着の時刻
- 乗車した人数と、乗り場ごとの待ち時間の様子
- 道路の状況(工事、渋滞、天候)
- 利用者さんの様子で気づいたこと
- 車の様子(異音、警告灯、車内の汚れなど)
- 困ったこと、次の担当に伝えたいこと
この項目が、AIに整えてもらうときの出力の形になります。
走り終えたら、スマートフォンに向かって話す
運転を終えたら、スマートフォンの録音機能や文字起こしの機能に向かって、項目の順に話します。文章にする必要はありません。
「朝の便。出発8時5分、到着8時50分。駅北口で2分待った。国道の交差点で工事の片側通行があって、5分くらい遅れた。Bさんは今日、少し元気がない様子だった。車の異音は特になし」
このくらいの話し方で十分です。話しながら書くよりも、話すほうが早く、運転後の疲れた頭でもできます。音声を文字にする方法は、音声メモから記録の下書きを作る記事でも紹介しています。
AIで日誌の形に整える
文字になった内容を、AIに整えてもらいます。
- 下の話し言葉の内容を、運転日誌の項目に分けて整理してください
- 話していない内容は、空欄のままにしてください
- 時刻と人数は、話したとおりに書いてください
- 利用者さんの様子は、事実の部分と、運転した職員の感想の部分を分けてください
「空欄のままにしてください」が重要です。AIは、書き落とした項目を、もっともらしい内容で埋めてしまうことがあります。「異音なし」と話していないのに、「異音なし」と書かれる、といったことです。車の状態のように安全にかかわる項目は、特に注意が必要です。
安全にかかわる項目は、人が見て確かめる
運転日誌には、安全にかかわる記録が含まれます。車の異音や、警告灯の点灯、事故になりかけた場面などです。これらは、AIが整えた文章をそのまま日誌にせず、運転した職員が、自分の言葉で確かめます。
事故やヒヤリとした場面は、責めずに集める仕組みがあるとよい記録です。日誌の項目に「ヒヤリとしたこと」の1行があるだけでも、拾える内容が増えます。
月に1度、日誌を読み返す
日誌は、ためておくだけでなく、月に1度読み返します。AIに1か月分の日誌を渡して、次のように頼みます。
- 遅れた日と、その理由の一覧を作ってください
- 繰り返し出てくる道路の場所や時間帯があれば、挙げてください
- 車の不調についての記述を、日付順に並べてください
遅れが同じ場所で繰り返されているなら、出発時刻や経路を見直すきっかけになります。車の不調の記述が並べば、点検に出す時期の目安になります。乗車表の組み直しのヒントにもなります。乗車表については、乗車表の組み直しの記事で紹介しています。
日誌は、職員の守りにもなる
丁寧な運転日誌は、利用者さんの安全を守るだけでなく、職員を守る記録にもなります。ある日に何があったのかを、あとから説明できるからです。
運転する職員の負担を減らす
日誌を書く時間が長いと、職員の負担になります。音声で残す方法は、運転後の疲れた状態でも、1分で終わるところが利点です。話す内容を紙に書いてスマートフォンの近くに貼っておくと、項目を忘れずに話せます。
また、日誌を書く場所を、事業所に戻ってからの机の上に限らないことも大切です。車の中で録音を済ませてしまえば、事業所に戻ったあとの時間を、利用者さんとの関わりに使えます。
録音の扱いに気をつける
音声には、利用者さんの様子や名前が入ることがあります。録音は、記号を使って話す、日誌を整えたら録音を削除する、といった決まりを作っておきます。録音を保管する場所は、事業所が決めた場所だけにします。個人のスマートフォンに残さないよう、整えたあとの削除の日も決めます。
日誌の様式は、簡単なものから
日誌の様式が細かすぎると、話す内容も多くなって、続かなくなります。最初は、時刻、人数、道路の様子、気づいたことの4項目だけにします。慣れてきたら、必要な項目を1つずつ足します。足したときは、全職員に伝えて、様式を更新します。続けられる軽さが、いちばん大切です。
引き継ぎの場面で生きる
日誌は、運転の担当が替わるときの引き継ぎにも役立ちます。この道は朝に混む、この乗り場は車を止めにくい、といった現場の知恵は、日誌に残っていれば、新しい担当にも伝わります。
まずは、明日の送迎の終わりに、項目の順に1分だけ話して録音してみてください。AIで整えるのは、その録音が3日分たまってからでも間に合います。
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