非常時の連絡網を見直す——ご家族へ届ける順番を、平時のうちに決めておく

大きな地震が起きた日、事業所には利用者さんが通所していました。幸い大きな被害はありませんでしたが、そのあとが大変でした。ご家族へ無事を知らせようと電話をかけても、つながらない。つながっても、次の家族への連絡が止まってしまう。職員の携帯には、ご家族からの問い合わせが次々に届きました。

私はそのとき、連絡網が紙の上にあっただけで、動く形になっていなかったことに気づきました。この記事では、非常時の連絡網を見直し、ご家族へ届ける順番を平時のうちに決めておく段取りをお伝えします。

目次

電話1本の連絡網は、非常時に止まる

多くの事業所の連絡網は、電話を前提にしています。職員が一覧を見ながら、1軒ずつ電話をかけていく形です。

けれど、大きな災害のときは電話がつながりにくくなります。1軒に何度もかけ直しているうちに時間が過ぎ、後ろの家族ほど連絡が遅れます。連絡を担当する職員も、目の前の利用者さんの対応に追われて、電話をかける手が空きません。

電話は大切な手段ですが、それだけに頼る連絡網は、いちばん必要なときに止まってしまいます。

一斉に届ける手段を持つ

そこで、まず全員に同じ知らせを届けられる手段を用意します。メールやSMSで、登録しているご家族へ一斉に知らせを送ることができます。

一斉に送る知らせは、たとえば次のような内容です。

「本日の地震について、事業所にいる利用者さんは全員無事です。職員が付き添っています。お迎えや帰宅の方法は、このあと改めてご連絡します。」

短くても、無事かどうかと、次に何が起きるかが分かれば、ご家族の不安は大きく変わります。一斉の知らせで全員に最初の知らせを届け、そのあと個別の連絡に移る。この順番にすると、連絡の遅れが一部の家族に集中しません。

文面は、非常時に考えていては間に合いません。地震、大雨、停電など、起こりうる場面ごとに、ひな形を平時のうちに作っておきます。

個別に連絡する順番を決める

一斉の知らせのあとは、個別の連絡が必要な方へ順に連絡します。この順番も、平時のうちに決めておきます。

私の事業所では、次のような考え方で順番を決めています。

  • 医療的な配慮や服薬が必要な方
  • 一人暮らしの方や、ご家族がすぐに迎えに来られない方
  • 帰宅の手段に支えが必要な方
  • それ以外の方

どの方を先にするかは、利用者さんの状況によって変わります。事業所で話し合い、名簿に順番を書き込んでおきます。担当する職員も分けておけば、1人に連絡が集中することを防げます。

ご家族の連絡先を、複数持っておく

連絡網を見直すときに、あわせて確かめたいのがご家族の連絡先です。1人の家族の1つの番号だけでは、その方が出られないときに連絡が途切れます。

主な連絡先に加えて、別の家族や、つながりやすいメールアドレスなど、2つ以上の連絡先を伺っておきます。登録してある連絡先が古くなっていないか、年に1度は確かめる機会を作ります。確かめる連絡も、フォームで送ってもらえば、職員が1軒ずつ電話で聞かなくて済みます。

引き渡しの連絡も決めておく

災害のあと、利用者さんをご家族へ引き渡すときの連絡も、平時に決めておきたいことの1つです。誰がお迎えに来るのか、事業所で待つのか、別の場所へ移るのか。ここがあいまいだと、ご家族が事業所に向かっている間に、利用者さんが別の場所へ移っていた、ということが起こりえます。

お迎えに来る方をあらかじめ登録しておき、引き渡しのときには職員が名簿で確かめます。引き渡しを終えたら、その記録を残し、まだ引き渡していない方が誰かを一覧で分かるようにしておきます。

ご家族からの問い合わせを1か所に

非常時には、事業所から送る連絡だけでなく、ご家族からの問い合わせも増えます。これが職員の個人の携帯に届くと、誰が何を答えたのか分からなくなります。

問い合わせは、事業所の番号やメールアドレスで受けると決めて、平時のうちにご家族へ伝えておきます。一斉の知らせの中で、「お問い合わせはこちらへ」と入口を示しておくと、連絡が散らばりにくくなります。

個人情報の扱いと、持ち出し

連絡網には、ご家族の氏名や連絡先、利用者さんの健康に関わる情報が含まれます。見られる職員を決め、保管の場所と方法を事業所で決めておきます。

一方で、非常時には事業所の建物に入れないこともあります。連絡網をどこから見られるようにしておくか、誰が持ち出すのかも、あわせて決めておきましょう。災害時の計画の作り方や、備えておくべきことについては、自治体や最新の通知で確かめてください。

訓練で、実際に送ってみる

連絡網は、作っただけでは動きません。避難訓練にあわせて、実際に一斉の知らせを送ってみることをおすすめします。

「これは訓練の連絡です」と明記して送り、ご家族に受け取れたかどうかを返してもらいます。届かなかった方、連絡先が変わっていた方が、訓練のうちに見つかります。職員にとっても、ひな形を選んで送る手順を1度体験しておくだけで、本番の動きが変わります。

まずは最初の一斉連絡の文面から

見直すことはたくさんありますが、最初にやることは1つで構いません。地震が起きたときに、全員のご家族へ送る最初の文面を1つ作ってみてください。

その文面を誰が、どの手段で送るのかを決める。そこから、個別の連絡の順番、連絡先の確かめ直しへと広げていけば、紙の上の連絡網が、いざというときに動く連絡網に変わっていきます。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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