利用者さんの支援は、事業所だけで完結するものではありません。暮らし全体の計画を立てる相談支援の担当者、医療の関係者、ご家族。いくつもの立場の人が、それぞれの場所から1人の方を支えています。
その中でも、相談支援の担当者とのやり取りは、事業所にとって大切なものです。ところが振り返ってみると、私の事業所では、連絡するのは何か困ったことが起きたときばかりでした。体調を崩した、通所が途切れた、トラブルがあった。担当者の側から見れば、事業所からの電話は悪い知らせの合図になっていたかもしれません。
この記事では、困ったときだけでなく、ふだんから近況を届ける連絡を型にする段取りをお伝えします。
ふだんの様子が伝わっていると、相談が早くなる
相談支援の担当者は、多くの利用者さんを受け持っています。1人ひとりの日々の様子を、事業所ほど細かく見ることはできません。
だからこそ、ふだんの様子が届いていると役に立ちます。最近は新しい作業に挑戦している、通所が安定してきた、昼休みに仲間と話すようになった。こうした小さな変化を知っていれば、何かが起きたときにも、担当者は前後の流れの中で状況をつかめます。
事業所の側にとっても、ふだんから連絡している相手には、困りごとを早めに相談しやすくなります。大きな問題になる前に、「ちょっと気になることがあって」と声をかけられる関係は、日ごろの小さな連絡から生まれます。
届ける中身を決めておく
定期の連絡を続けるには、何を書くかを決めておくことが欠かせません。毎回ゼロから考えていると、忙しい月から途切れていきます。
私の事業所では、1人の利用者さんについて、次の項目で近況をまとめています。
- 通所の状況(安定している、休みが増えた、など)
- 取り組んでいる作業と、その様子
- できるようになったこと、うれしかった出来事
- 気になっていること(あれば)
- 事業所として次に取り組みたいこと
1項目につき1文か2文で十分です。長い報告書にする必要はありません。担当者が数分で読めて、利用者さんの今が思い浮かぶこと。それが目安です。
事業所全体の近況も添える
利用者さん1人ひとりの様子に加えて、事業所全体の近況を短く添えるのもおすすめです。新しい作業を始めた、見学の受け入れ日を増やした、行事を予定している、空きが出た。
相談支援の担当者は、新しく事業所を探している方の相談にも乗っています。事業所の今が伝わっていると、合いそうな方に紹介してもらえるきっかけにもなります。紹介を頼むための連絡ではなく、あくまで近況のお知らせとして届けるのが、長く続けるこつです。
送る時期と手段を決める
連絡の頻度は、月に1度や、支援計画の見直しの前など、事業所と担当者の間で無理のない時期を決めます。担当者によって希望が違うこともあるので、最初に「どのくらいの頻度で、どの手段がよいですか」と聞いておくと行き違いがありません。
手段は、メールで送ることができます。決まった時期に、決まった形で届く連絡は、受け取る側にとっても整理しやすいものです。事業所の側では、送る日を予定に入れておけば、忙しさに押されて忘れることが減ります。
近況の文面を整えるときには、相談できるAIに下書きを手伝ってもらうこともできます。職員が書いた箇条書きのメモを、読みやすい文章にしてもらう。そのときは、次に書く個人情報の配慮を忘れないでください。
個人情報の扱いに気をつける
相談支援の担当者とのやり取りには、利用者さんの個人情報が含まれます。何を、誰と、どのように共有してよいかは、利用を始めるときに利用者さんやご家族と確かめておくことが前提です。共有の範囲や同意の取り方は、事業所の決まりや、自治体や最新の通知で確かめてください。
メールで送るときは、宛先の間違いがないよう、送る前に宛先を声に出して確かめます。1通に複数の利用者さんの情報をまとめず、1人ずつ分けて送るようにすると、誤って別の人の情報を届けてしまう心配が減ります。AIに下書きを頼むときは、名前を伏せた形でメモを渡します。
返事を求めすぎない
定期の連絡は、相手に負担をかけないことも大切です。毎回返事を求める形にすると、忙しい担当者にとっては仕事が1つ増えることになります。
「ご確認いただければ、お返事は不要です」と一言添えておくと、受け取る側は気楽に読めます。相談したいことがあるときは、その連絡だけ件名を分けて、返事が必要だと分かるようにします。お知らせと相談を分けておくと、大事な相談が近況の中に埋もれません。
送った記録を残しておく
定期の連絡は、送ったことを事業所の中で記録しておきます。いつ、どの担当者へ、どの利用者さんの近況を届けたか。これが分かっていると、担当の職員が替わっても連絡が途切れません。
記録が残っていると、支援計画を見直すときにも役に立ちます。数か月分の近況を並べれば、利用者さんの変化の流れが一目で分かります。相談支援の担当者との話し合いの場でも、「この頃からこう変わってきました」と具体的に伝えられるようになります。
まずは1人分から
いきなり全員分の近況を送り始める必要はありません。まずは、最近様子に変化があった利用者さんを1人選び、決めた項目で近況をまとめて届けてみてください。
返ってきた一言や、次に会ったときの会話の中で、届けてよかったと感じる場面がきっとあるはずです。そこから少しずつ人数を広げていけば、困ったときだけではない、支え合う関係が育っていきます。
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