記録を読み返していると、職員によって書き方が大きく違うことに気づきます。事実を淡々と書く人、感想を多く書く人、短く書く人、細かく書く人。どれも間違いではありませんが、読む側は、どこまでが事実で、どこからが書いた人の感想なのかが分からなくなります。
この記事では、記録を事実と所感に分けて書く型を決めて、AIに書き分けの確認を手伝ってもらう方法をお伝えします。
なぜ、事実と所感を分けるのか
事実と所感が混ざった記録は、あとで読み返したときに困ります。たとえば、「Aさんは今日、やる気がなかった」という記録です。実際に何があったのでしょうか。作業の手が止まっていたのか、声をかけても返事がなかったのか。「やる気がなかった」は、書いた職員の見方であり、事実ではありません。
事実と所感を分けておくと、複数の職員の記録を並べたときに、同じ事実に対して、見方が違うことも分かります。モニタリングや面談の場面で、事実に基づいて話せるようになります。
書き方の型を決める
事業所で、次のような型を決めます。
- 事実: 見たこと、聞いたこと、した対応を、そのまま書く
- 所感: 職員がそう感じた、そう考えた、ということを、「所感」と分けて書く
- 次回: 次に気をつけること、確かめたいこと
先ほどの例は、次のように書き直せます。
- 事実: 午前の作業で、手が止まる場面が3回あった。声をかけると、「眠い」と話した
- 所感: 前日の疲れが残っているように感じた
- 次回: 帰りの送迎で、昨夜の睡眠について聞いてみる
事実の部分には、「やる気がない」「元気がない」のような評価の言葉を入れません。評価の言葉は、所感に回します。
AIに書き分けを確認してもらう
職員が書いた記録を、AIに渡して、書き分けを確認してもらいます。利用者さんの名前は記号に伏せて渡します。
- 下の記録を、「事実」「所感」「次回」に分けて、書き直してください
- 元の記録にない内容は、足さないでください
- 事実の欄に評価の言葉が入っている場合は、どの言葉か指摘してください
- 判断できない部分は、「分けられない」として残してください
AIに書き直しまでさせるのは、分け方のお手本を見てもらうためです。書いた職員は、AIの分け方を見て、自分の書き方の癖に気づきます。AIの書き直した文章を、そのまま記録に使う必要はありません。
記録を直すのは、書いた本人
AIが書き直した記録を、他の職員が勝手に直すことは避けます。記録には、書いた職員の責任があります。直すのは書いた本人で、AIの指摘は、気づきのための道具です。
また、職員の書き方を責めるための道具にしてはいけません。AIの指摘を、書き方を比べて職員を評価する材料にすると、記録を書くこと自体が怖くなります。目的は、記録の質を上げて、利用者さんの支援に役立てることです。
型を使って、職員で振り返る
月に1度、職員みんなで、記録の型を振り返る時間を作ります。伏せた記録を1件選んで、事実と所感を分けてみる、という練習です。
- どの言葉が事実で、どの言葉が評価か
- 所感に書いたことは、次の支援にどう生かせるか
- 事実として書き足したほうがよいことはないか
AIの使い方を、別の職員と共有する場にもなります。新しく入った職員にも、同じ型で書き方を伝えられます。
音声で残す場合も、同じ型で
記録を音声で残す方法は、音声メモから記録の下書きを作る記事で紹介しています。音声で話すときにも、「事実」「所感」「次回」の順に話すと、あとで整理するときに楽です。
記録の書き方に、正解は1つではない
事実と所感を分ける型は、書き方の1つの考え方です。この型が全ての事業所に合うわけではありません。大切なのは、事業所の中で、記録の読み方をそろえることです。
型を決めたら、まず1か月、職員みんなで試します。書きにくい項目があれば、型のほうを直します。型に合わせることが目的になると、記録そのものが書きづらくなってしまいます。
所感は、悪いものではない
事実だけを書くようにすると、所感を書いてはいけないように感じる職員がいます。そうではありません。現場で利用者さんと関わった職員の所感は、貴重な情報です。「所感」という欄を作って、そこに書く。それだけで、事実と混ざらず、あとから読み返したときに、役立つ情報として使えます。所感を書いてよいことを、職員に最初に伝えておきます。
管理者が型を使ってみせる
型を職員に広げるときは、管理者が先に、自分の書く記録を型に合わせてみせます。管理者が使っていない型は、現場に広がりにくいものです。うまく分けられなかった記録も、そのまま例として共有すると、職員も安心して試せます。完璧な記録より、続けられる記録を目指します。
まずは、今日書いた記録を1件選んで、事実と所感に分けて書き直してみてください。全体の地図はAIに任せる仕事と任せない仕事の記事です。
事業所の外向きの仕事を、1つの仕組みにまとめたい方へ
見学の受け付け、相談員さんへの説明、求人、発信。ばらばらに抱えている外向きの仕事を、1つの仕組みにまとめるご相談を、30分の無料相談で受け付けています。「うちの事業所は何から始めるか」を、順番でお答えします。
運営: 株式会社トレジャーハンティング