就労支援の事業所にとって、外から受ける作業の依頼は、利用者さんの大切な仕事です。袋詰めや封入、簡単な組み立て、清掃、データの入力。依頼が安定して入ると、利用者さんの作業の計画も立てやすくなります。
ところが、仕事を頼みたい企業や個人の側から見ると、事業所に何を頼めるのか、どこに連絡すればよいのかがわかりにくいことがあります。「頼めることがあるなら頼みたいけれど、どう聞けばよいのかわからない」。そうした声を聞いたことがあります。
この記事では、作業の依頼を受ける窓口を整えるための順番をお伝えします。
同業どうしのつながりとは、相手が違う
以前、同業の事業所どうしでつながる入口について書きました。そちらは、同じ福祉の仕事をしている事業所との情報交換や連携の話でした。
作業の依頼の窓口は、相手が違います。福祉の仕事をしていない企業や個人が相手です。福祉の制度や事業所の仕組みを知らない方にも、わかる言葉で伝える必要があります。
1. 受けられる作業を書き出す
最初にするのは、事業所で受けられる作業を書き出すことです。いま受けている作業だけでなく、これまでに受けたことのある作業、利用者さんの得意なことから考えて受けられそうな作業も並べます。
書き出すときは、依頼する側の言葉で書くのがポイントです。「軽作業」とだけ書いても、依頼する側には何を頼めるのかが伝わりません。「チラシの折り込みと封入」「商品のシール貼り」「店舗まわりの清掃」のように、具体的な作業の名前で書いておくと、相手が自分の仕事と結びつけやすくなります。
2. 受けるときの条件を決めておく
次に、受けるときの条件を決めておきます。どのくらいの量なら受けられるか、納期はどのくらい必要か、材料の受け渡しはどうするか。
条件をあらかじめ決めておくのは、断るためではなく、無理のない仕事を受けるためです。利用者さんの体調や通所の状況によって、作業のペースは変わります。無理な納期で受けてしまうと、職員が作業を肩代わりすることになり、利用者さんの仕事ではなくなってしまいます。
料金の考え方も、事業所の中で整理しておきます。ここは事業所ごとに事情が違うので、無理に一律の表にする必要はありません。見積もりの相談を受けられることを伝えておけば十分です。
3. 依頼の入口をホームページに作る
受けられる作業と条件が決まったら、依頼の入口をホームページに作ります。作業の依頼向けのページを1つ用意し、受けられる作業の例、依頼から納品までの流れ、相談の方法を載せます。
相談の方法は、依頼フォームを用意しておくと便利です。会社名や担当者、連絡先、頼みたい作業の内容、量、希望の納期。こうした項目を決まった形で受け取れるので、職員が電話で1つずつ聞き取る手間が減ります。依頼があったら、受け付けたことを自動でメールで返すこともできます。
電話での相談を受けたいという方もいます。電話の受付をAIに任せておけば、職員が作業の立ち会いで手が離せない時間でも、用件と連絡先を聞き取って記録に残せます。
4. 作業の様子を見せる
依頼する側にとって、いちばん気になるのは「本当に任せて大丈夫か」ということです。そこで、作業の様子をページで見せておくと安心してもらえます。
作業場の様子、仕上がった製品の写真、品質を確かめる手順。写真を載せるときは、利用者さんの顔が写らないようにする、手元だけを写すといった配慮をします。写真に写る方には、必ず事前に同意を取っておきます。
5. 依頼の記録を残し、次につなげる
依頼を受けたら、どこから、どんな作業を、どのくらいの量で受けたかを記録に残しておきます。記録がたまると、どの時期にどんな依頼が多いかが見えてきます。依頼の少ない時期に、以前依頼をくださった方へ近況を伝えるメールを送ることもできます。
こうした連絡の文面は、相談できるAIに下書きを手伝ってもらうと早く作れます。「以前、封入作業を依頼してくださった企業に、最近の事業所の様子を伝える短い文面を」と頼めば、たたき台が出てきます。最後は職員が読んで、相手に合わせて直します。
窓口の担当を決めておく
依頼の入口を作っても、届いた相談に誰が返すのかが決まっていなければ、返事が遅れてしまいます。作業の依頼の窓口を受け持つ職員を決め、その職員が休みの日の代わりも決めておきます。
担当の職員には、受けられる作業の一覧と、受けるときの条件をまとめた紙を渡しておきます。相談を受けたときに、その場で受けられるかどうかの目安がわかれば、依頼する側を長く待たせずに済みます。
窓口は、利用者さんの仕事を守るもの
作業の依頼の窓口を整えることは、事業所の営業のためだけではありません。利用者さんに、安定して意味のある仕事を届けるためのものです。
依頼する側に事業所のことを知ってもらい、無理のない条件で仕事を受ける。そのやり取りが続けば、依頼する側にとっても、事業所は頼りになる取引先になっていきます。
まずは受けられる作業を10個書き出す
窓口づくりの最初の1歩は、受けられる作業を書き出すことです。職員と一緒に、依頼する側の言葉で10個ほど並べてみてください。
書き出してみると、事業所でできることが思っていたより多いことに気づくはずです。それが、依頼の入口となるページの中身になります。
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