見学に来られたご家族や、相談支援の担当者、関係機関の方に渡すパンフレット。事業所の紙の案内は、いまでも大切な役割を持っています。
ところが、いざ見直してみると、写真に写っている職員がもう退職していたり、活動の内容が今とずいぶん違っていたりすることがあります。作り直したいと思いながら、つい後回しにしてしまう。私の事業所でも、そうした時期がありました。
作り直しが進まない理由の多くは、手をつける順番にあります。この記事では、パンフレットを作り直すときに私がたどっている順番をお伝えします。
デザインから始めると、長引く
パンフレットを作り直そうとすると、多くの方がまず見た目のことを考えます。色、写真、紙の質感。けれど、デザインから考え始めると、載せる内容が決まっていないまま何度も案を出し直すことになり、なかなか終わりません。
見た目は最後です。その前に決めるべきことが、いくつかあります。
1. 誰に渡すのかを決める
最初に決めるのは、このパンフレットを誰に渡すのかです。利用を考えているご本人なのか、ご家族なのか、相談支援の担当者なのか、地域の企業なのか。
渡す相手によって、知りたいことは違います。ご本人やご家族は、1日の過ごし方や雰囲気を知りたいと思っています。相談支援の担当者は、対象となる方や受け入れの流れを確かめたいはずです。相手が違うなら、無理に1冊にまとめず、渡す相手ごとに内容を分けるほうが伝わりやすいこともあります。
2. 今のパンフレットで困っていることを集める
次に、今のパンフレットを使っていて困っていることを、職員から集めます。「見学のときに、結局口で説明し直している」「この写真について、いつも質問される」「電話番号が古い」。
実際に渡している職員は、パンフレットの足りないところをよく知っています。集めた声は、作り直しの材料そのものです。
3. 載せる内容を決め、削るものも決める
渡す相手と困りごとがわかったら、載せる内容を決めます。このとき大切なのは、削るものも決めることです。
伝えたいことを全部載せようとすると、文字がびっしり詰まった読みにくい紙になります。パンフレットは、事業所に興味を持ってもらい、見学や相談につなげるためのものです。細かい情報は、ホームページや見学のときに伝えればよい。そう割り切ると、載せる内容はずいぶん絞れます。
4. 変わりやすい情報は紙に載せない
パンフレットを長く使うために、私が気をつけているのは、変わりやすい情報を紙に載せないことです。
職員の名前や人数、行事の日程、細かい活動の予定。こうした情報は変わるたびに刷り直しが必要になります。紙には変わりにくいことを載せ、変わりやすい情報はホームページに置いて、パンフレットからそこへ案内するようにしています。紙にホームページへの案内を1つ入れておけば、最新の情報はいつでもそちらで確かめてもらえます。
以前、見学のページを1枚作り直す話を書きましたが、紙とホームページで役割を分けておくと、両方の見直しが楽になります。
5. 文章を書き、最後にデザインを整える
内容が決まってから、はじめて文章を書きます。文章の下書きは、相談できるAIに手伝ってもらうと早く進みます。「ご家族向けに、事業所の1日の流れを、やさしい言葉で紹介して」と頼めば、たたき台が出てきます。それを職員が読み、事業所らしい言葉に直していきます。
デザインは、ここでようやく考えます。載せる内容が決まっていれば、写真をどこに置くか、見出しをどうするかも迷いにくくなります。
写真と言葉の扱いに気をつける
パンフレットに利用者さんの写真を載せるときは、必ずご本人やご家族の同意を取ります。同意の範囲も、紙に載せることまでなのか、ホームページにも使ってよいのかを分けて確かめておきます。顔が写らない構図にする、手元だけを写すといった工夫もできます。
また、制度や支援の内容を書くときは、断定的な言い方を避けるようにしています。制度の細かい部分は、自治体や最新の通知で確かめたうえで書く。わからないことは載せない。紙は1度配ると取り消せないので、慎重すぎるくらいでちょうどよいと考えています。
作ったあとに、渡し方を決める
パンフレットは、作って終わりではありません。どう渡すかまで決めて、はじめて役に立ちます。
見学に来た方には、帰り際に手渡しする。相談支援の担当者には、近況を伝えるときに同封する。紙で渡した方には、あとからメールで同じ内容の案内を送ることもできます。紙とメールの両方で届けておくと、ご家族の間で共有してもらいやすくなります。
見直す時期を決めておく
作り直したパンフレットも、時間がたてばまた古くなります。私は、年度の始まりの前など、見直す時期をあらかじめ決めておくようにしています。その時期が来たら、職員に今のパンフレットで困っていることを聞き、直す必要があるかどうかを確かめます。
刷る部数も、使い切れる量にとどめておくと、直したいときにすぐ直せます。たくさん刷って余らせてしまうと、古い内容を配り続けることになりかねません。
まずは今のパンフレットに付箋を貼る
作り直しの最初の1歩は、今のパンフレットを机の上に広げ、古くなっているところに付箋を貼っていくことです。職員にも同じことをしてもらいます。
付箋が貼られたところが、直すべき場所です。誰に渡すのかを決め、付箋の場所を順番に見直していけば、作り直しは思っているより早く進みます。
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