福祉の現場では、忙しい日ほど職員の休憩が後回しになります。利用者さんの対応が続き、電話が鳴り、記録が溜まる。気づけば昼を過ぎていて、立ったまま食事を済ませる。私自身も管理者として、そういう日を何度も見てきましたし、自分でもやってきました。
休憩が取れない状態が続くと、疲れが溜まり、判断が雑になり、ちょっとしたことで気持ちが荒れます。それは職員のためにも、利用者さんのためにもなりません。
この記事では、職員が日中にきちんと休憩を取れるようにするための段取りをお伝えします。
休憩が取れないのは、抜けたあとが心配だから
職員が休憩を取らない理由を聞いてみると、多くは「自分が抜けると現場が回らない気がする」というものでした。休憩中に何かあったら、ほかの職員に迷惑をかける。そう思うと、なかなか席を離れられません。
つまり、休憩が取れないのは、本人の意識の問題というより、抜けたあとの段取りが決まっていないことが原因でした。誰が代わりに入るのか、何を引き継げばよいのかが決まっていれば、職員は安心して席を離れられます。
1. 休憩の時間と順番を先に決める
最初にしたのは、その日の休憩の時間と順番を、朝のうちに決めておくことです。「今日はこの人が先、この人が次」と、朝の打ち合わせで確かめます。
順番を決めるときは、利用者さんの予定を見ます。作業が落ち着く時間、送迎の前後、昼食の見守りが必要な時間。現場が比較的落ち着いている時間に休憩を置き、手が離せない時間は避けます。
決めた順番は、職員全員が見える場所に書いておきます。「そろそろ休憩をどうぞ」と声をかけ合うきっかけにもなります。
2. 休憩に入る前の引き継ぎを短くする
休憩に入る前には、代わりに入る職員へ引き継ぎをします。ただ、この引き継ぎが長くなると、休憩に入るまでに時間がかかり、結局取りそびれてしまいます。
そこで、引き継ぐ内容を3つに絞りました。今見ている利用者さんのこと、待っている連絡や対応、戻ってから続ける作業。この3つを一言ずつ伝えれば十分です。
3. 電話と問い合わせの受け方を決めておく
休憩を妨げる大きな原因の1つが電話です。休憩中でも電話が鳴ると、つい出てしまう。事業所の電話を受けられる職員が限られていると、なおさらです。
電話は、休憩中の職員が出なくてよいように、受ける人を決めておきます。人手が少ない時間帯は、AI電話で最初の受付をすることもできます。AI電話なら、用件と連絡先を伺って記録に残し、あとで職員が折り返せます。
問い合わせのフォームやメールには、自動で受付の返事を送れます。「受け付けました。担当から改めてご連絡します」と返しておけば、すぐに対応しなくても相手を待たせすぎることがありません。
4. 休憩の場所を確保する
休憩を取っても、利用者さんの声が聞こえる場所にいると、なかなか気持ちが休まりません。できる範囲で、現場から少し離れて座れる場所を用意します。
広い部屋がなくても、仕切りを置く、椅子を1つ置くだけでも違います。休憩中は呼ばないという約束も、職員どうしで決めておきます。本当に必要なときだけ声をかけるようにすると、休憩中の職員も安心できます。
管理者が先に休む
意外と大切なのが、管理者が休憩を取ることです。管理者が休まずに働いていると、職員は「自分だけ休むのは申し訳ない」と感じます。
私は、自分の休憩も順番の中に入れて、決めた時間にきちんと席を離れるようにしています。管理者が休む姿を見せることで、職員も休憩を取ってよいのだと感じられるようになりました。
休憩から戻るときの一言も決めておく
休憩に入るときの引き継ぎと同じくらい大切なのが、戻ってきたときの一言です。代わりに入っていた職員から、休憩中にあったことを短く聞きます。
「電話が1本あって、折り返しの連絡先を書いておきました」「利用者さんが1人、少し疲れた様子でした」。この一言があるだけで、戻った職員はすぐに現場の流れに入れます。代わりに入った職員も、自分の休憩の番が来たときに、同じように引き継ぎを受けられます。
休憩の前後の引き継ぎが習慣になると、職員どうしで「お互いさま」と思える空気が生まれます。休憩を取ることへのうしろめたさが、少しずつ薄れていきました。
休憩の記録を振り返る
休憩の順番を決めても、忙しい日は崩れることがあります。取れなかった日があれば、その理由を簡単に書き留めておきます。
同じ曜日に取れないことが続く、同じ職員が取れていない。そうした傾向が見えてきたら、人の配置や仕事の分け方を見直すきっかけになります。勤務や休憩の扱いについては、事業所の就業の決まりや、関係する法令・最新の通知を確かめておくと安心です。
記録には職員の働き方が含まれるので、見られる人を限り、評価の材料には使わないようにしています。
明日の休憩の順番を、今日のうちに決める
まずは明日の休憩の順番を、今日の終わりの打ち合わせで決めてみてください。紙に書いて貼っておくだけでも十分です。
休憩は、気合いで取るものではなく、段取りで守るものです。順番と引き継ぎの形が決まると、職員は安心して席を離れられるようになります。休んだ職員が落ち着いて現場に戻ることは、利用者さんへの支援の質を守ることにもつながります。
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