利用者さんの体調の変化を、日々の記録から拾う——書き方をそろえる小さな工夫

「そういえば、ここ数日、朝の表情が硬かったかもしれない」。利用者さんの体調を崩されたあとで、職員どうしでそう話すことがあります。

振り返ってみると、日々の記録にはそれらしいことが書かれていました。ただ、書いた職員が日によって違い、書き方もばらばらだったため、並べて読んだときに変化としてつながらなかったのです。

この記事では、利用者さんの体調の小さな変化を、日々の記録から拾いやすくするための工夫をお伝えします。

目次

1日の記録だけでは、変化は見えない

体調の変化は、多くの場合、少しずつ表れます。食事の量がいつもより少ない、作業の途中で休む回数が増える、口数が減る。1日だけ見れば「たまたま」で済んでしまうことも、数日続けて見ると意味を持ってきます。

だから、大事なのは1日分の記録を丁寧に書くこと以上に、何日分かを並べて読めるようにしておくことです。そのためには、書き方をある程度そろえておく必要があります。

書き方をそろえる3つの工夫

毎日見る項目を決めておく

体調について、毎日必ず見る項目を決めておきます。たとえば、朝の様子、食事、休憩の取り方、帰りの様子。項目が決まっていれば、書く職員が変わっても、同じ視点で記録が残ります。

項目は多くしすぎないことが大切です。項目が多いと、記録を書く時間が増え、結局どこかで省かれてしまいます。まずは3つか4つから始めて、必要に応じて見直していきます。

いつもとの違いを書く

記録は、「いつも通り」かどうかを基準に書くと読み返しやすくなります。「昼食は半分ほど残した。いつもは完食」のように、いつもとの違いがわかる書き方をしておくと、あとで読んだ人にも変化が伝わります。

いつも通りだった日は、「いつも通り」と短く書けば十分です。変化があった日だけ詳しく書く。こうすると、記録全体の中で変化のあった日が目立つようになります。

見たことと、思ったことを分ける

「元気がなかった」と書くと、それが何を見てそう思ったのかがわかりません。「作業中に2回、机に伏せていた」と見たことを書き、そのあとに「疲れている様子」と思ったことを書く。見たことと思ったことを分けておくと、読む人が自分で判断できる記録になります。

音声やフォームで、書く負担を減らす

書き方をそろえると言っても、職員の記録の時間が増えては続きません。以前、記録を書く時間が残業になる問題について書きましたが、体調の記録も同じです。

決まった項目を選ぶ形のフォームにしておけば、職員は選んで、気になったことだけを短く書き足せばよくなります。音声で話した内容を文字にする仕組みを使えば、手が離せない場面でも記録を残せます。書く負担が軽くなれば、記録の抜けも減っていきます。

並べて読むのを、AIに手伝ってもらう

記録がそろってくると、何日分かを並べて読むことができるようになります。とはいえ、利用者さん全員分を毎日読み返すのは大変です。

ここで、文章を読んで要点を整理するAIが役に立ちます。ある利用者さんのここ1週間ほどの記録を渡して、「いつもと違う点が続いている項目」を書き出してもらう。職員はその結果を入口にして、気になるところを自分の目で確かめます。

ただし、AIが整理した内容は、あくまで気づくための手がかりです。体調の判断や、医療につなぐかどうかの判断は、職員と、必要に応じて看護師や医療の専門職が行います。AIの整理だけで結論を出すことはしません。

記録の扱いには、特に配慮する

体調の記録は、利用者さんのとても大切な個人の情報です。AIに渡すときは、氏名を伏せる、病名や服薬の詳しい内容は含めない、といった配慮をしています。どの記録をどこまで扱ってよいかは、事業所の中で決め、職員全員で共有しておきます。

また、記録はご本人のためのものだということも忘れないようにしています。ご家族に体調の様子を伝えるときも、ご本人の気持ちに配慮しながら、伝える内容と伝え方を考えます。

気づいたら、つなぐ先を決めておく

記録から変化に気づいても、そのあと誰に伝えるのかが決まっていなければ、気づきは生かされません。

気になる変化があったら、まず担当の職員と管理者で共有する。続くようであれば、ご家族に様子を伝える。医療の判断が必要そうなときは、事業所の看護師や関係する専門職に相談する。こうしたつなぐ先を、あらかじめ決めておきます。以前書いたヒヤリとした出来事の集め方とは違い、体調の変化は日々の小さな積み重ねです。だからこそ、つなぐ流れを決めておくことが大切です。

職員の間で、読み方もそろえる

書き方をそろえたら、読み方もそろえておきます。朝の打ち合わせで、前日の記録のうち「いつもと違う」と書かれたところだけを読み上げる。こうすると、その日に出勤した職員全員が、気をつけて見るべき利用者さんを知ったうえで1日を始められます。

新しく入った職員には、記録の書き方と一緒に、この読み方も伝えます。書く人と読む人が同じ視点を持っていることが、変化に気づく力になります。

まずは1つの項目から始める

いきなり記録の形をすべて変える必要はありません。まずは、朝の様子の書き方だけでもそろえてみてください。「いつも通り」か、「いつもと何が違うか」。それを職員全員が同じように書くだけで、1週間後に並べて読んだときの見え方が変わります。

小さな変化に早く気づけることは、利用者さんが安心して通い続けられることにつながります。記録は、そのための大切な道具です。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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