年度の途中で入る利用者さんを迎える準備——最初の2週間を落ち着いて過ごすために

福祉の事業所では、年度の始まりだけでなく、年度の途中から利用を始める方も少なくありません。学校を卒業した時期とは違うタイミングで、ほかの事業所からの移行や、生活の変化をきっかけに通い始める方がいます。

年度の途中から入る方は、すでに出来上がっている利用者さんどうしの輪の中に、1人で加わることになります。作業の流れも、1日の過ごし方も、周りの人はもう慣れています。その中で、新しく来た方が戸惑うのは当然のことです。

この記事では、年度の途中で入る利用者さんを迎える前に整えておきたいことと、最初の2週間の見守り方をお伝えします。

目次

職員の受け入れと、似ているようで違う

以前、新しく入った職員の最初の1週間について書きました。新しい人を迎えるという点では似ていますが、利用者さんの受け入れには、職員とは違う配慮が必要です。

職員は仕事を覚えることが目的ですが、利用者さんにとっての目的は、安心して通い続けられることです。最初のうちは、作業をたくさんこなすことよりも、「ここに来てよかった」と感じてもらうことを大切にしています。

受け入れる前に整えておくこと

ご本人の「いつも」を聞いておく

利用を始める前の面談で、ご本人がふだんどう過ごしているかを聞いておきます。朝はどのくらいの時間に起きるのか、どんなときに疲れやすいのか、苦手な音や場面はあるか。前に通っていた場所があれば、そこでの様子も、ご本人やご家族の了解を得たうえで伺います。

ここで聞いた内容は、担当する職員だけでなく、関わる職員全員で共有しておきます。ただし、共有するのは支援に必要な範囲だけにとどめ、個人の事情に深く関わることは担当と管理者の間で扱います。

最初の作業と席を決めておく

初日にどこに座り、どんな作業から始めるのかを決めておきます。周りの利用者さんとの相性や、ご本人の苦手な場面を考えて、落ち着ける場所を選びます。

最初の作業は、ご本人が「できた」と感じやすいものを選びます。難しすぎる作業から始めると、それだけで自信を失ってしまうことがあります。

周りの利用者さんにも伝えておく

新しい方が来ることを、周りの利用者さんにも前もって伝えておきます。紹介の仕方はご本人の希望も確かめながら決めます。大勢の前で紹介されるのが苦手な方もいるので、無理に朝の会で話してもらう必要はありません。

最初の2週間の見守り方

毎日、短く記録を残す

最初の2週間は、毎日の様子を短く記録に残します。表情、食事、休憩の取り方、帰りの様子。1日の記録は短くて構いませんが、毎日続けることで、少しずつ慣れていく様子や、逆に疲れがたまっていく様子が見えてきます。

記録の項目を決めた形のフォームにしておけば、どの職員が書いても同じ視点で残せます。

終わりに、ひと言だけ声をかける

1日の終わりに、担当の職員がひと言だけ声をかけます。「今日はどうでしたか」「明日も待っていますね」。長い振り返りをする必要はありません。短いやり取りの中で、ご本人の様子を感じ取ることができます。

ご家族との連絡を決めておく

最初の2週間は、ご家族も心配されていることが多いものです。様子をどのくらいの頻度で、どんな形で伝えるのかを、最初に決めておきます。

決まった曜日に、1週間の様子をメールで届けることもできます。送迎の時間の変更や、行事のお知らせは、SMSで短く届けることもできます。何かあったときだけ連絡するのではなく、特に何もない週も「元気に過ごされています」と伝えておくと、ご家族の安心につながります。

2週間たったら、振り返りの時間を取る

最初の2週間が過ぎたら、担当の職員と管理者で、記録を並べて振り返ります。慣れてきたところ、まだ負担が大きそうなところ、席や作業を変えたほうがよさそうなところ。ご本人にも、話しやすい形で感想を聞きます。

この振り返りの結果をもとに、次の1か月の過ごし方を決めていきます。最初に決めた席や作業は、あくまで仮のものです。ご本人の様子に合わせて変えていくことを、最初から前提にしておきます。

案内の資料は、型にしておく

年度の途中の受け入れは、時期が決まっていない分、そのたびに準備が慌ただしくなりがちです。そこで、受け入れの案内や持ち物の一覧、1日の流れを説明する資料を、型として用意しておきます。

資料の下書きは、相談できるAIに手伝ってもらうと早く作れます。「初めて通う方向けに、事業所の1日の流れをやさしい言葉で説明して」と頼めば、たたき台が出てきます。それを職員が読み、事業所の実情に合わせて直します。ご本人の名前や事情は、AIには渡さないようにしています。

制度に関わる手続きについては、事業所で判断できることと、自治体や相談支援の担当者に確かめるべきことを分けて扱います。制度の細かい部分は、自治体や最新の通知で確かめるようにしています。

まずは次の受け入れ用に、紙を1枚用意する

年度の途中で入る方を迎える準備は、特別なことではありません。ご本人のいつもを聞き、最初の席と作業を決め、最初の2週間を丁寧に見守る。それだけです。

まずは、次に受け入れる方のために、初日の流れと担当の職員を書いた紙を1枚用意してみてください。その1枚があるだけで、職員は落ち着いて迎えられ、新しく来た方も安心して最初の1日を過ごせるはずです。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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