名簿をいくつかの出どころから集めると、同じ人が何行にも分かれて入ることがあります。「中央町3丁目5番8号」と「中央町3-5-8」、「佐藤 一郎」と「佐藤 一郎」。人の目には同じですが、機械には別物です。
この記事では、架空の名簿59行で、書き方のゆれをそろえる試験をした結果をお伝えします。名寄せがどこまで機械に任せられ、どこから人が見るべきかが、数字で分かります。
試験のやり方
架空の所有者30人を作り、ひとりあたり1〜3行、書き方を変えた行を用意しました。合計は59行です。
- 名前:姓と名の間が半角空白、全角空白、空白なしの3通り
- 住所:「3丁目5番8号」「3-5-8」「3丁目5-8」「3丁目5番地8」全角数字、漢数字など、最大6通り
- 同姓同名で、住所が違う別人も2組、わざと入れました
正解は、私たちの手元にあります。機械が「同じ人」と判定した行の組が、正解とどれだけ合っているかを数えました。
結果:そのまま比べると、ほとんど見つからない
同じ人の行の組は、全部で36組ありました。
- そのまま一致で探すと:36組のうち4組しか見つからない
- 1回目の整え(全角と半角、空白、漢数字、基本の丁目・番地の形)をかけると:23組
- 2回目の整え(「丁目」「番地」「番」「号」を、数字の区切りにそろえる)をかけると:36組すべて
誤って別人を同じ束にしたものは、どの段階でも0でした。
整えるのは、決まりごとの積み重ね
最初の整えで見つからなかった13組は、「3丁目5-8」のように、丁目の後ろだけが数字の区切りになっている書き方でした。1回目の整えは「丁目・番・号」が3つそろった形だけを前提にしていたからです。2回目では、数字に挟まれた「丁目・番地・番・号」を、区切りの記号に統一しました。
このように、見つからなかった組を見ながら、決まりを1つずつ足していく進め方が、いちばん確実です。最初から完璧な決まりを作る必要はありません。
名前だけで束ねると、別人が混ざる
同じ試験で、住所を使わず、名前だけで束ねてみました。28の束のうち、2つに別人が混ざりました。同姓同名で住所の違う人を、わざと入れていた2組です。
名前が同じというだけで同一人物とみなすと、取り違えの事故が起きます。所有者の名簿では、名前と住所の両方がそろったときに「同じ人の可能性が高い」と判定し、片方だけが合うものは、人が見る一覧に回します。
人が見る一覧に回すもの
機械で束ねたあとに、人が見るべきものは3種類です。
- 名前は同じで、住所が違うもの(同姓同名の別人か、引っ越した本人か)
- 住所は同じで、名前が違うもの(家族か、同じ建物の別の住人か)
- 名前の一部だけ合うもの(旧姓や、漢字の旧字体など)
この3種類は、機械が決めると、取り違えが起きる領域です。名簿の持ち主である会社が、本人への確認や、電話での確かめを通して決めます。
束ねたあとは、消さずに残す
同じ人と分かった行は、1行に統合しても、元の行は消さずに履歴として残します。あとで間違いが分かったときに、元に戻せるからです。統合した記録には、「いつ、どの決まりで、誰が確認したか」を1行添えます。
名寄せを始める順番
いきなり全部の名簿に名寄せをかけると、結果の確認が追いつきません。まず、名簿の中から、100行くらいを取り出し、手で正解を付けてみます。次に、機械の整えをかけ、手の正解との差を見ます。差が出た行を見れば、その名簿に特有の書き方のゆれが分かります。
この小さな試験を先にやるのが、遠回りに見えて、いちばん早い進め方です。機械の決まりが、その名簿に合っているかを、100行で確かめてから、残りへ広げます。広げたあとも、「人が見る一覧」に回す行は残ります。その一覧を、週に1回、担当者が20分で見る時間を決めておくと、名寄せが止まりません。
名寄せの結果を、担当者に渡す形
名寄せの結果は、機械が束ねた一覧だけでは、担当者が使いにくくなります。渡すときは、束ねた理由を、1行で添えます。「名前と住所が、整えたあとで一致」「名前が一致、住所が別」のような短い文です。理由が分かれば、担当者は、確認に力を入れるべき行を、すぐに選べます。また、人が確認した結果を、次の名寄せの決まりに反映させます。同じ種類のゆれが、次は機械で処理できるようになり、人が見る一覧が、少しずつ短くなっていきます。
私たちの試験の限界
この試験は、架空の名簿59行で、書き方のゆれの種類も私たちが作ったものです。実際の名簿では、住所の抜けや、読み仮名のゆれ、旧字体など、もっと多様なゆれが出ます。上の数字は、考え方を確かめるための小さな実測であり、実際の名簿での精度を示すものではありません。
次に読む
名簿に入れる項目の決め方は、所有者の名簿に入れる項目と入れない項目で書きました。名簿ができたあとの返事の管理は、売主の流れを8つの段に分ける記事へ続きます。
少人数の不動産会社で、この記事のような仕事を減らしたい方へ
案内中の電話、物件の紹介文、商談の記録。少人数の不動産会社が「必要だけど、人がやらなくてもいい仕事」をAIとGoHighLevelに任せる仕組みを、自社の業務で組み立てる講座を開いています。開講の案内は無料で受け取れます。
運営: 株式会社トレジャーハンティング