ヒヤリとした出来事を、責めずに集める段取り

利用者さんが転びそうになった。薬を渡す相手を間違えそうになった。送迎の車に乗る前に、利用者さんがいなくなりかけた。事業所では、事故にはならなかったけれど、ヒヤリとした出来事がときどき起こります。

こうした出来事は、放っておくと、いつか大きな事故につながるかもしれません。反対に、集めて振り返っておけば、事故を防ぐ手がかりになります。私は、ヒヤリとした出来事を集める段取りを、事業所で整えておくことをすすめています。そのときにいちばん大切なのは、責めずに集めることです。

目次

事故の手前に、たくさんのヒヤリがある

大きな事故が1件起きる手前には、事故にはならなかった出来事がたくさんある、とよく言われます。ヒヤリとした出来事は、事故がまだ起きていないうちに、危ないところを教えてくれる知らせです。

この知らせを拾えるかどうかで、事業所の安全は大きく変わります。

責められると思うと、報告しなくなる

ヒヤリとした出来事を集めようとしても、なかなか集まらないことがあります。その理由の多くは、報告すると責められると思うことです。

「自分の不注意だと思われる」「評価が下がるかもしれない」。そう思うと、職員は報告をためらいます。出来事は隠れたままになり、同じ危ないところが残り続けます。

ヒヤリとした出来事を集めるときは、報告した人を責めないことを、管理者がはっきりと伝えておきます。

人ではなく、出来事を書く

報告の書き方も、責めない形にしておきます。書くのは、誰が悪かったかではなく、何が起きたかです。

記録の項目は、次のようにします。

  • いつ、どこで起きたか
  • どんな出来事だったか
  • なぜ起きたと思うか(場所、道具、手順、時間帯など)
  • どうすれば防げそうか

「誰が」の欄は、なくてもかまいません。出来事と、その背景に目を向ける書き方にしておくと、報告する職員の気持ちも楽になります。

出しやすくする工夫

報告は、出しやすくしておくことが大切です。長い書類を書かなければならないと、忙しい職員は後回しにしてしまいます。

短い項目だけの用紙を用意する、スマートフォンから短く入力できるフォームを作る、といった工夫をします。口で伝えてもらい、ほかの職員が代わりに記録するのもいいでしょう。とにかく、出来事が起きたらすぐに、手軽に残せるようにしておきます。

報告してくれたら、お礼を伝える

ヒヤリとした出来事を報告してくれた職員には、お礼を伝えます。「教えてくれてありがとう。おかげで防げることがある」。

報告が歓迎されるとわかれば、職員は次も報告してくれます。報告が増えることは、事業所の危ないところがよく見えるようになった、ということです。

集めたら、みんなで振り返る

集めたヒヤリとした出来事は、定期的に、職員みんなで振り返ります。月に1度の会議の時間を少し使って、その月の出来事を見ていくのです。

似た出来事が何度も起きていれば、そこに原因があります。段差が危ないなら目印をつける、薬の渡し間違いが起きそうなら確かめる手順を変える。振り返りの結果、変えたことは、職員全員に伝えます。

出来事を種類ごとに分けて数えるのは、相談できるAIに手伝ってもらうこともできます。ただし、利用者さんの名前など、個人の情報はAIに渡さない決まりにしておきます。

管理者から、先に報告する

職員に報告を求めるなら、管理者自身も、自分のヒヤリとした出来事を報告します。管理者が先に報告すれば、「報告することは恥ずかしいことではない」と職員に伝わります。

会議の場で、管理者が「先週、私もこういうことでヒヤリとしました」と話すだけで、職員の報告への抵抗はずいぶん小さくなります。

新しい職員にも、最初に伝える

新しく入った職員には、ヒヤリとした出来事を報告する仕組みがあること、報告しても責められないことを、最初に伝えておきます。慣れない職場では、ヒヤリとする場面が多いものです。最初から報告の習慣を持ってもらえれば、事業所の安全にもつながります。

変えたことを、報告した人に返す

振り返りで何かを変えたら、そのことを、報告してくれた人にも伝えます。自分の報告が、事業所を変えるきっかけになった。そう実感できると、職員は報告することに意味を感じます。

まとめ

ヒヤリとした出来事は、事故を防ぐための大切な知らせです。責めないことを管理者が伝え、人ではなく出来事を書く形にする。出しやすくする工夫をし、報告にはお礼を伝える。集めたら職員みんなで振り返り、変えたことを報告した人に返す。責めずに集める仕組みがあれば、事業所の安全は少しずつ高まっていきます。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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