個別支援計画の下書きをAIに手伝わせる——任せる部分と人が書く部分の線引き

個別支援計画の作成は、事業所の事務の中でも重い仕事です。面談の記録を読み返し、ご本人の希望を言葉にし、目標と支援の内容を組み立てる。1人分を仕上げるだけで、まとまった時間がかかります。

相談しながら文章を整えてくれるAIが身近になり、「計画もAIに書かせられないか」という声を聞くようになりました。私の考えは、下書きの一部は手伝ってもらえる、けれど計画そのものは人が書く、です。この記事では、その線をどこに引くかをお伝えします。

目次

計画は、ご本人との約束

まず前提として、個別支援計画はご本人と事業所の間の約束です。どんな暮らしや働き方を望んでいるのか、そのために事業所が何をするのか。ご本人やご家族と話し合い、納得してもらったうえで形になるものです。

ですから、計画の中身を決めるのは、面談をした職員であり、計画を作る責任を持つ職員です。AIは、その職員が考えたことを文章に整える手伝いをする立場にとどめます。この順番が逆になると、ご本人の声ではなく、それらしい文章が並んだ計画になってしまいます。

計画の様式や作成の手順、見直しの時期などは、自治体や最新の通知で決まりがあります。ここは事業所で確かめたとおりに進め、AIに判断させないようにしてください。

手伝ってもらいやすい部分

線引きの目安は、「人が考えたことを整える作業」か「中身を決める作業」かです。整える作業であれば、AIの手伝いが役に立ちます。

  • 面談で書き留めた箇条書きのメモを、読みやすい文章にする
  • 目標の書き方を、ご本人に伝わるやわらかい言い回しに直す
  • 長くなった支援内容を、同じ意味のまま短くまとめる
  • 専門用語が多い文を、ご家族にも読める表現に言い換える

たとえば、面談のメモに「作業は午前中が集中できる。人の多い場所は疲れやすい。袋詰めが好き」とあったとします。これをもとに、ご本人の強みと配慮を分けて書いた文章の案を出してもらう。そこまでがAIの出番です。どの作業を目標に据えるかは、職員が決めます。

人が書く部分

反対に、AIに任せないほうがよいのは次のような部分です。

ご本人の希望そのもの。本人の言葉は、できるだけ本人が話したとおりに残します。AIに整えてもらうと、きれいな文章になるかわりに、その人らしさが消えてしまうことがあります。

目標の中身と、支援の方法。何を目指すか、どう手伝うかは、日々の様子を見ている職員の判断です。AIが出す案は一般的なものになりやすく、目の前の利用者さんに合っているとは限りません。

見直しのときの評価。できるようになったこと、まだ難しいことの判断は、記録と観察にもとづいて人が行います。

個人情報は、渡す前に外す

計画の下書きにAIを使うとき、いちばん気をつけたいのが個人情報の扱いです。氏名、生年月日、住所、病名や障害の詳しい内容は、AIに入力する前に外すか、伏せた形にします。

私が勧めているのは、「Aさん」のように記号で置き換え、必要な情報だけを書き出してから相談するやり方です。どの情報まで入力してよいか、どのAIの仕組みを使ってよいかは、事業所の中で決まりを作り、職員に共有しておきます。決まりがあれば、職員は迷わずに使えますし、管理者も安心して任せられます。

下書きのあとに、必ず読む時間を取る

AIに整えてもらった文章は、そのまま計画に貼りつけずに、面談をした職員が読み直します。自分が聞いた話と違う表現になっていないか。ご本人が言っていないことが足されていないか。この確認を省くと、計画が事実から少しずつずれていきます。

特に気をつけたいのは、AIが気を利かせて足してくる言葉です。「前向きに取り組む意欲がある」「周囲と協調できる」のような、どの人にも当てはまりそうな表現が入っていたら、面談で本当にそう聞いたかを確かめます。聞いていないなら消します。計画に書かれた言葉は、その後の支援の根拠になるからです。

読み直すときは、ご本人の顔を思い浮かべて、声に出して読んでみてください。「この言い方で、本人は自分のことだと思えるだろうか」。この問いに引っかかる箇所は、人の言葉に戻します。

頼み方を、事業所で1つにそろえる

職員によってAIへの頼み方がばらばらだと、出てくる下書きの質もばらばらになります。そこで、計画の文章を整えてもらうときの頼み方を、事業所で1つの型にしておくと便利です。

私が使っている型は、次のような流れです。まず、面談のメモを名前を伏せて貼る。次に「ご本人の言葉はそのまま残してください」「書かれていないことは足さないでください」と伝える。最後に「強みと配慮に分けて、短い文章の案を2つ出してください」と頼む。

この型を紙1枚にまとめて、計画を作る職員の手元に置いておきます。新しく入った職員も同じ頼み方ができるので、事業所の計画の書きぶりがそろってきます。頼み方の型は、使いながら直していけば十分です。

空いた時間を、面談に回す

AIに文章の整理を手伝ってもらうと、計画を作る時間は短くなります。大切なのは、その空いた時間を何に使うかです。

私は、書類に向かう時間を減らして、ご本人と話す時間に回すことを勧めています。計画のよし悪しは、文章のうまさではなく、面談でどれだけ本人の声を聞けたかで決まるからです。

まずは、次に作る計画の面談メモを1つ、名前を伏せたうえで文章に整えてもらうところから試してみてください。手伝ってもらえる部分と、自分で書くべき部分の境目が、実際に使ってみるとはっきり見えてきます。

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この記事を書いた人

(株)トレジャーハンティング、アイ・シー・エス通商(株)、(株)ヒミコ代表取締役。15年以上、自社のネット集客を手掛けてきた実績をもとに、ネット集客コンサルティングを行ってきた。現在、GoHighLevelを使ったGoogleマップレビュー代行を中心に活動している。

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