職員を募集しても、なかなか応募が集まらない。ようやく入ってくれた職員が、思っていた仕事と違ったと言って、早くに辞めてしまう。多くの事業所が抱えている悩みだと思います。
原因はいくつも考えられますが、その1つに、採用ページで伝えることが足りていない、ということがあります。求人の条件だけを並べたページでは、応募を考えている方が本当に知りたいことが伝わりません。私は、採用ページを、応募する方が知りたいことから書くことをすすめています。
採用ページの構成の例
採用ページを作る際には、求職者が知りたい情報をスムーズに読める順番で配置することが大切です。上から順の見出しの例としては、次のような構成が考えられます。
- 題名と導入(事業所の思い)
- 1日の仕事の流れ
- 大変なことと事業所の支え方
- 教え方と相談の仕組み
- 働いている職員の声
- 見学や話を聞く機会の案内
- 事業所が大切にしていること
- 応募したあとの流れ
こうした流れで構成することで、応募を考えている方は知りたい情報を順番に確認できるようになります。
条件だけでは、選ばれない
求人の情報には、給与、勤務時間、休日、仕事の内容といった条件が並びます。もちろん、これらは欠かせない情報です。
けれど、条件だけを見て応募を決める人は、多くありません。似たような条件の求人がほかにもあれば、どこを選べばよいのかわからないからです。応募を考えている方は、条件の向こう側にある、実際の働き方を知りたいと思っています。
1日の仕事の流れを書く
採用ページでまず伝えたいのは、1日の仕事の流れです。朝は何時に来て、午前は何をして、お昼はどう過ごして、午後はどんな仕事があり、何時ごろに帰れるのか。
1日の流れがわかれば、応募を考えている方は、自分がそこで働く姿を思い浮かべられます。送迎がある日、記録を書く時間、職員どうしの打ち合わせの時間など、支援以外の仕事も正直に書いておきます。
1日の流れの書き方の例
時間ごとの具体的な動きをイメージしやすくするため、次のような架空の例を載せておくと伝わりやすくなります。
- 08:30 … 出勤、朝礼、一日のスケジュール確認
- 09:00 … 利用者さんの迎え入れ、朝の会
- 10:00 … 日中活動の支援(作業や創作活動)
- 12:00 … 昼食のサポート、見守り
- 13:30 … 午後の活動、散歩や軽作業
- 15:00 … おやつの時間、休憩
- 15:30 … 記録の記入、翌日の準備
- 17:15 … 申し送り、退勤
このように時間ごとの作業を載せることで、入職後の具体的な動きが伝わります。
大変なことも、正直に書く
採用ページでは、良いことばかりを書きたくなります。けれど、大変なことも正直に書いておくほうが、入ってからの行き違いが減ります。
利用者さんの状態によっては、落ち着いて対応することが求められる場面があること。記録や書類の仕事が思ったより多いこと。こうしたことを先に伝えておけば、それを承知で応募してくれた方は、入ってから驚かずに済みます。
大変なことを書くときは、事業所としてどう支えているかもあわせて書きます。困ったときに相談できる先輩がいる、記録の時間を勤務時間の中に確保している、といったことです。
教え方と、相談の仕組みを書く
経験の少ない方ほど、入ってから仕事を覚えられるかどうかを心配しています。そこで、新しい職員をどう迎え、どう教えるのかを書いておきます。
最初の数週間は先輩と一緒に動くこと。仕事の手順書があること。わからないことを相談できる人が決まっていること。受けられる研修があること。こうしたことが書いてあれば、経験の少ない方も応募しやすくなります。
新しい職員の最初の1週間を支える仕組みについて整えておくことも、安心して働いてもらうために大切です。
働いている職員の声を載せる
採用ページには、実際に働いている職員の声を載せるといいでしょう。どうしてこの事業所で働くことにしたのか、働いてみてどうだったのか、どんなときにやりがいを感じるのか。
職員の声は、事業所が書く説明より、ずっと応募を考えている方の心に届きます。声を載せるときは、職員本人の許可をもらい、名前や写真をどこまで出すかも本人と相談して決めます。
職員の声を聞くときの質問の例と、載せる許可の取り方
職員にインタビューをする際の質問例としては、次のようなものが挙げられます。
- この事業所を選んだ理由は何ですか
- 働き始めてから印象に残っていることは何ですか
- 職場の雰囲気や、困ったときの相談のしやすさはどうですか
- これから応募する方へ伝えたいメッセージはありますか
また、声を載せる際は事前に原稿を見せ、どこまでの情報を公開してよいか本人と相談して決めることが大切です。
見学や、話を聞く機会を用意する
応募の前に、事業所を見てみたい、話を聞いてみたいという方もいます。採用ページに、見学や、気軽に話を聞ける機会の案内を載せておきます。
いきなり応募するのはためらう方も、見学ならと来てくれることがあります。見学の申込は、フォームから受けられるようにしておくと、仕事の合間や夜にも申し込んでもらえます。
見学や体験の申込の受け付け方を整えることで、応募のハードルを下げることができます。
事業所が大切にしていることを書く
採用ページには、事業所が支援で大切にしていることも書いておきます。利用者さんの得意なことを伸ばすことを大切にしているのか、落ち着いて過ごせる場所であることを大切にしているのか。
大切にしていることに共感してくれた方が応募してくれれば、入ってからも同じ方向を向いて働けます。理念の言葉を並べるより、日々の支援の中で実際にどう心がけているのかを、具体的に書くほうが伝わります。
採用ページを、ときどき見直す
採用ページは、1度作ったら長く放っておかれがちです。けれど、事業所の様子や働き方は、少しずつ変わっていきます。
年に1度は、採用ページの内容が今の事業所と合っているかを見直します。新しく入った職員に、採用ページを読んで入ってみてどうだったかを聞くと、直すべきところがよくわかります。
応募したあとの流れを書く
応募したあと、どんな流れで進むのかも書いておきます。応募から何日くらいで連絡があるのか、面接は何回あるのか、見学はできるのか。
流れがわかれば、応募する方は安心して応募できます。応募を受けたら、すぐに受け取りの連絡が届くようにしておくと、応募した方を不安にさせずに済みます。
応募を受けたときに届く受け取りの連絡の文例
応募があった際に送るメールやメッセージの文例としては、次のようなものが考えられます。
例:「ご応募いただきありがとうございます。採用担当の〇〇です。ご応募のデータを確かに受け付けました。内容を確認の上、担当者より○日以内に次の選考のご案内についてご連絡いたします。今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます」
このように丁寧な受け取りの連絡を返すことで、応募者は安心して次のステップに進むことができます。
まとめ
採用ページは、条件だけでなく、応募を考えている方が知りたいことから書きます。1日の仕事の流れ、大変なことと事業所の支え方、教え方と相談の仕組み、働いている職員の声、見学の機会、応募したあとの流れ。これらが伝わる採用ページは、応募を増やすだけでなく、入ってからの行き違いを減らし、長く働いてもらうことにもつながります。
職員の定着につながる職場の小さな仕組みを見直し、日々の働きやすさを伝えていくことが大切です。
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